(一)概述
 めまい(眩暈)は婦人によく見られる病です。その原因を追究すると婦人の特殊な生理現象と密接な関係があります。婦人は毎月月経がありますが、月経の主な成分は血液です。したがって気虚或いは血熱或いは瘀血など多種類の原因は、みな月経失調を引き起こすのです。これらさまざまな原因は同時に血液を大量に消耗させ、一連の症状も現れることがあります。



   (ニ)各類型の症状と推拿手法
 1.陰虚陽亢
(1)症状表現
  ①目がまわり、目の前が暗くなる(頭暈目眩)。
  ②心が不安で乱れる(心中煩乱)。
  ③イライラして怒りやすい(急操易怒)。
  ④口やのどがかわく(口干咽燥)。
  ⑤舌色は紅、舌苔は黄。
  ⑥脉は弦細数。

(2)推拿の手法

 ①分推前額。手指で額を左右に分けて推す、印堂から太陽穴まで推して行く、手指は緩慢に推行する、毎回分推100回以上。









 ②推揉督脉。手指で鼻尖から督脉の走行に沿って推して行き、長強穴まで推す、毎回推揉50回以上。









 ③三陰交、行間、地機の三穴を指圧(点按)。力は先ず重く后で軽く、毎回点按50回以上。









 ④推揉腹部。手のひらで腹部を推し揉みする。毎回施術100回以上。









 ⑤点按百会、風池穴。百会、風池穴を指圧するはじめは軽く、次第に強くする。毎回50回以上点按しなくてはならない。









 ⑥拿捏肩井部。手のひらで肩井部をつまみこねる(拿捏)、毎回拿捏100回以上。


2.血虚
(1)血虚の症状
  ①突然めまいがして、目の前が暗くなる(突然暈眩)。
  ②顔色は真っ青(面色蒼白)。
  ③動悸がして胸苦しい(心悸胸悶)。
  ④手足が冷たい(四肢厥冷)。
  ⑤冷や汗が滴り落ちる(冷汗淋漓)。
  ⑥舌色は淡、少苔。
  ⑦脉は細教。

(2)推拿の手法

 ①擦揉手心・足心。手のひらで患者の手のひらや足の裏を快速に摩擦する、皮膚が熱くなってくるのを目途とする、毎回擦揉100回以上。






 ②内、外関、合谷などのツボをつねり揉む、毎回つねるときにはすこし力を重くし、揉む時には力をゆるめる、毎回つねり揉み50回以上。








 ③点按四神聡、手指で四神聡を指圧(点揉)、力は先に重く后は軽く、毎回点按50回以上。









 ④指擦内眼角。手指で内眼角を快速に擦り揉み、皮膚が熱くなるように、毎回擦揉50回以上。








 ⑤点按神闕・関元。手指で強めに神闕、関元二穴を指圧(点按)、毎回点按50回以上。













 ⑥梳摩頭部両側経脉。手指で頭皮を梳るように摩擦する(梳摩)、力は軽重織り交ぜて、毎回梳摩200回以上。


3.脾虚夾痰
(1)症状表現
  ①頭がボーっとして重い(頭昏沈重)。
  ②胸苦しく吐き気がする(胸悶泛悪)。
  ③食が進まず、眠くて仕方ない(少食多寝)。
  ④舌苔は白膩。
  ⑤脉は濡滑。

(2)推拿の手法

 ①中脘、建里、神闕などのツボを指圧(点揉)。力ははじめは軽く次第に重く、毎回点揉100回以上。












 ②分推脘腹。手のひらで上腹部を左右に推す、力は軽重織り交ぜて、毎回分推100回以上。












 ③点掐足三里。手指でツボの上を指圧(点按)、力を入れて、このツボをつねりはじく、毎回点掐50回以上。






 ④指推脊椎両側。手指で脊椎の両側のツボの上を左右に同時におさえる(按圧)、その後上から下へ推す、毎回推50回以上。












 ⑤拿捏頚后部。手で風池穴をつかみこね(拿捏)、その後緩慢に下に向かってこねもみ(捏揉)していく、毎回拿捏100回以上。








 ⑥対圧頭部。両手の手のひらの付け根を頭部の両側におき、その後頭部を左右から圧(擠圧)して、患者の頭部を熱くする、毎回擠圧10回以上。

HOME BACK