第3章 婦人病の推拿


七、妊娠中の痙攣



 (一)概述
 婦人は受胎してからは、母体が食物から吸収する栄養物質の相当部分は胎児の栄養のために供給されますから、妊婦の体質は相対的に低下します、或いは血液が不足して筋肉が栄養を失ったり、風寒湿の邪が身体に侵入して経絡をつまらせて筋肉の動きを不調にしたり、或いはカルシウムが不足したり、こうしたことがすべて妊娠中の痙攣を引き起こします。妊娠期間中は、飲食の栄養に注意して、たんぱく質の豊富な食物を多く食べ、果物や野菜を沢山食し、意識してカルシウム分や多種類のビタミン類を摂取することです。このことは母体にとって有益であるばかりでなく、胎児の発育にとっても大変好ましいことです。もしも妊娠中に痙攣が起こったら、推拿按摩の方法を用いて治療すべきだす。ぜひ一度試してください



   (ニ)各類型の症状と推拿手法
 1.陰血不足
(1)症状表現
  @顔色はあおじろく艶がない。
  A唇の色は淡白。
  B爪甲の色はうすい。
  C頭がくらくらして眼がかすむ(頭暈眼花)。
  D舌質は淡。
  E脉は細無力。

(2)推拿の手法

 @拿捏内・外関。手指で内関と外関穴をつまみ、その後ゆっくりと力を入れてツボをこねもみする(捏揉)、毎回拿捏30回以上。







 A擦揉手足心。手のひら或いは手指で手のひらの中心(手心)或いは足の裏の中心(足心)をこすりもむ(擦揉)、力は初めは軽く回第に重く、速度は初めはゆっくり回第に速く、毎回擦揉100回以上。





 B揉摩胸部。手掌を胸部につけて左右上下に胸部を揉みなでる、力は軽微に、毎回施術100回以上。










 C艾灸温熨。棒灸で痙攣している部位を温める、皮膚が熱くなったら宜しい、毎回温灸20回以上。、









 D梳摩頭部。手指で頭部の両側を梳るようになでる、力は軽微に、毎回梳摩100回以上.








 E拿捏肩井。手掌で肩井部をつかみ、そのごじわーっと深く肩井穴をこねる、毎回拿捏50回以上。


2.寒湿阻滞
(1)症状表現
  @妊娠中の痙攣。
  A手足がひきつる。
  B関節が痛む。
  C身体が重くだるい。
  Dお腹が冷えて痛い。
  E胸苦しく食が進まない。
  F舌色は淡、舌苔は白。
  G脉は沈緩。

(2)推拿の手法

 @拿捏四肢筋肉。手のひらで四肢の筋肉をつかみこね軽く揉む、毎回拿捏100回以上。












 A推揉足小腿。手指或いは手のひらでふくらはぎを推し揉みする、重点は承山穴の推揉、毎回推揉100回以上。












 B点按揉捏足三里。手指で足三里穴を圧す(点)おさえる(按)もむ(揉)こねる(捏)、毎回点揉50回以上。












 C熱した鶏卵で、痙攣部位を温める。鶏卵は水から煎じ熱して、熱いうちに痙攣部位を熨して温める、毎回15分間。







 D棒灸で合谷、承山、湧泉、労宮などのツボを温める。毎回温灸20分間以上。







 E拍叩四肢。手指で四肢の関節の部位或いは筋肉を軽微に叩く、力は軽重織り交ぜて、毎回拍叩20回以上。
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