産後の身痛と産後の腰痛を引き起こす原因はだいたい同じです。多くは血をなくし体液を損傷した(亡血傷津)、正気が非常に弱っている、筋肉や関節が栄養を失っている、或いは弱っているところに外邪が侵入して経絡や関節を塞いで、気血の運行を阻害して、停滞させて痛みをもたらす、ということです。 即ち、身体がもともと丈夫な人でも、分娩時には血を大量に流失しますし、加えて産後は関節は空虚になっているし、皮膚のしまりは粗くなっているし、汗は大量に出ています、或いは産後の節制がよくないと、弱っている上にさらに弱ってきます、このように抵抗力がないのに乗じて外邪が侵入してくれば、すべて産後の身痛を引き起こすことになります。推拿による産後の身痛の治療は、主に補助治療で、筋肉や骨を強くし、正気を補います。 |
(1)症状表現 ①全身の関節が痛む。 ②手足が痛だるく苦しい、しびれる。 ③頭がくらくらして動悸。 ④舌色は淡紅、舌苔は少。 ⑤脉は細無力。 (2)推拿の手法 ①分推頭額。両手の母指で印堂から太陽穴まで左右に推して行く、力はゆっくりと、軽重は適宜に、毎回分推100回以上。 ②拿捏頚后。手で風池穴からつまみこねて行き肩井穴で止める、力はやや重く、毎回拿捏100回以上。 ③点按曲池・合谷・列缺穴。手指で点按する時には、力はやや重く、毎回点按50回以上。 ④点按委中・足三里・崑崙穴。手指で点按する時にはやや重く、少しはじかれる感じがするように、毎回点按50回以上。 ⑤拿揉脘腹部。手のひらをお腹に置いて左右上下に揉み動かす、毎回拿揉(つまみもみ)100回以上。 ⑥推行背部経脉。手指或いは手のひらで背部の経脉を推して行く、推行するときおさえられた感じ(按圧感)があるように、毎回推行100回以上。 |
(1)症状表現 ①全身の関節が痛む。 ②屈伸しにくい。 ③痛む場所が定まらない。 ④からだがむくむ。 ⑤しびれて重たい。 ⑥歩きにくい。 ⑦舌色は淡、舌苔は薄白。 ⑧脉は細緩。 (2)推拿の手法 ①弾撥肩胛。肩甲骨の脊柱縁から筋肉をつねるように手指を深く挿入して、後外方に向けて指尖でこねはじく(拿捏弾撥)、毎回弾撥50回以上。 ②拿捏四肢。手で四肢の筋肉、関節をつまみこねる(拿捏)、力は軽重織り交ぜる、毎回拿捏100回以上。 ③牽引四肢。手で肢体を揺りうごかした後、外に向けて牽引する、毎回牽引10回以上。 ④拍叩背部陽経。手指で背部の陽経のツボを叩く、力は初めは軽く次第に重く、毎回拍叩100回以上。 ⑤大椎・命門・肚臍などのツボに吸い玉(火罐抜吸)、毎回吸着15分間。 ⑥棒灸温灸。百会、大椎及び各関節の痛むところ。毎回温灸15分間、皮膚が熱くなったら宜しい。 |