(二)
推拿は、中医の治療方法の一部分です。推拿療法は主に手法操作を通じて、その力を人体のツボ、経絡、皮膚、腱、筋肉、骨などに作用させて、疾病を予防・治療し、健康を増進するという目的に到達するものです。 |
祖国の医学は次のように認識しています。人間は一個の統一した整体であって、気、血、津、液などの基本的な物質によって組成されており、しかもこれらの基本物質はまた陰陽の二つに大きく分類さます。陰陽の平衡、これは人体が正常な生理活動を行ううえでの基本的な保証です。臨床においてはもちろん、風寒湿などの外邪の侵襲(六淫外襲)、精神・感情のストレス(七情内傷)、不規則な過労や安逸(労逸不均)、転倒打撲などの外傷(趺仆損傷)など、すべて人体の陰陽の平衡状態を破壊することができるし、そうして各種の疾病をもたらすことができます。推拿は主に人体の皮膚・筋肉・骨格、経脈、ツボに施術して、気血を整え、陰陽を平衡させ、各種の原因によってもたらされた陰陽の失調状態を再び平衡させ、そのことによって症状を消失させ、疾病を治癒させることができます。もしもある個人が陰陽失調をきたすと、陽が盛んであれば必ず陰が衰え、陰が盛んであれば必ず陽が衰え、陰陽ともに衰えるという状況も出現します。もちろん、陰陽のどちらか一方が偏って盛んになったり、偏って衰えたりすれば、いずれも疾病を引き起こすことになり得ます。人体の陰陽は相対的に平衡していなければならないし、また互いに転化し影響しあわなくてはなりません。家庭で婦人病の推拿を行うに当たって、陽盛或いは陰盛の疾病に対処する場合には、瀉法の推拿手法を採用します。また、陽衰或いは陰衰の体質に対しては、温補的な推拿手法を採用します。即ち、推拿の補瀉を用いて、人体の陰陽を平衡させ、疾病の予防と治療という目的を達成するわけです。 |
人体の経絡は、“内は臓腑に属し、外は肢節を絡う”、これは、人体各部を連系して循っているということです。経絡の生理的な効能は主に経気の作用です。経気の運行が正常であれば、すなわち人体の各部位、臓腑は正常な機能を維持でき、外邪に抵抗して、人体をまもることができます。もちろん、家庭で自分で或いは他の人に推拿をしてもらう場合でも、経絡の疏通をよくすれば、気機は伸びやかになり、表裏は通じ、人体の病邪に対する抵抗力は増強します。 |
気と血との関係は相互依存です。気には温煦、生化、推動、統摂の作用があり、血には濡養、運戴の作用があります。人体の気血は全身に分布し、環を描いて回り休むことなく運行し、そして人体の正常な生理活動を維持します。もし、気血の運行が失調したときには、人体は各種の病変に陥ります。気血の失調は婦人科の疾病をもたらす重要な原因の一つです。婦人の月経、妊娠、分娩、哺乳などはすべて血を以って行われ、血を最も消耗するものです。したがって身体の内部では往々にして血分が不足して、その結果気分が偏って余ることになります。“血は気の用となり、気は血の帥となる”所以です。気血は互いに生み・生まれる相互依存の関係にあり、したがって、常に気血同病の証候が出現します。たとえば、気滞血瘀や気血両虚などです。婦人科の中では、気血の失調は、往々にして直接或いは間接に衝任を損傷して、子宮に病理的な変化を発生させ、婦人科の疾患を引き起こし、月経,帯下、胎児、出産に関わる症状が現れます。これが婦人科の病理的な特徴です。 |
寒は陰邪です。その性質は、清冷、凝滞、収引で、陽気を傷つけやすく、気機を収斂閉塞させ、気血の運行を阻害します。 |