ニ十、外陰部の掻痒感



(一)概説
 外陰部の痒みは女性の常見される症状です。痒くなる部位は多くは陰核包皮と小陰唇の附近ですが、大陰唇、会陰および肛門附近も痒くなります。外陰部の痒みは多種類の疾病に現れる一つの症状です、たとえば原虫性腟炎、細菌性腟炎、老年性腟炎が排出する分泌物が外陰部を刺激して掻痒感を引き起すことになります。また別に全身性の慢性病、たとえば寄生虫病、糖尿病および各種の外陰部の皮膚病(外陰部の白斑等)も外陰部の痒みをもたらすことがあります。臨床上の主要表現は外陰部の掻痒感、月経期と夜間に痒みが加重され、ひどくなると独特の痒みは忍び難くなり、いてもたってもおれなくなり、仕事をしていようと休息していようと同じことです。西洋医学では本病は内分泌の機能失調、感染、精神的な要因と関係があるとします。
 中医学では、本病は湿熱が下に注ぐことによって起こるあるいは肝と腎の陰が虚すことがその病理のメカニズムであるとします。
  症状表現
 @外陰部の掻痒感、月経期と夜間に痒みが加重;
 Aいらいらして、いてもたってもおれない;
 B常に帯下(おりもの)の量が多い。



(ニ)沐浴法
 薬水洗浴を採用、薬用:苦参100g、蛇床子80g、白蘚皮100g、地膚子30g、丹皮50g。上薬を水から煎じてカスを去り、濾液で坐浴。毎回10〜20分間。



(三)推拿の穴位と手法

 @両手を重ねて下腹部におき時計方向に旋転摩腹(腹をまわしなでる)50回、次に逆時計方向に旋転摩腹50回(図235)。











 A手指で腹部のへその下3寸の関元穴、へその下4寸の中極穴、へその下1.5寸の気海穴、関元の傍ら2寸の水道穴と中極の傍ら2寸の帰来穴を点按(しあつ)。各穴点按1分間、だるい、はれぼったい感じがしてきたら宜しい(図236)。






 B手指で下腿の内くるぶしの上3寸の膝の下で内側の陰陵泉穴と足の親指と第2指の間の行間穴を点按。各穴点揉(テンジュウ、点状にもむ)2分間、だるい、しびれる、はれぼったい感覚が生じたら宜しい(図237)。






 C患者は伏臥位、手のひらで腰仙部を快速に擦動(サツドウ、こすりうごかす)、熱が出て熱くなったら宜しい(図238)。



(四)注意事項
 @こまめに下着を換え、下着はお湯で洗う。
 A毎晩睡眠前に温水で外陰部を洗う習慣を養成する。
 B手で外陰部を掻かないようにして、皮膚が破れたり、感染を引き起こすことを防ぐ。
 C疲労を蓄積しないようにする。

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