七、玉顔美容の沐浴推拿


(一)概説
 “愛美之心,人皆有之”(美を愛する心は、人はみなこれをもっている)
 美を愛することは人間の天性です。文明の進歩した社会は美しい社会です。年の若い人は皆んな美貌で人を悦ばしたいと希望します。女性は特に美しさで人を魅了すること、魅力が永存すること、常に若々しいことを希望します。年をとった人はみな容貌を永く保ち、色香のなくならないことを切望します。美、それは人の心をゆったりと晴れやかにし、精神を興奮させます。美、それは人に楽しみを与えます。
 美しい容貌、これはすべの人があこがれるものです。浴後の推拿は玉顔美容の有効な方法です。日常生活でこの方法を堅持することができれば美しい容貌になれます。夜、就眠する前に、まず沐浴して顔を洗い、その後自分で顔の美容を行えば、皮膚の血液循環を促進して、細胞の再生能力を増強しますから、顔にしっとりとした紅色のつやがでてくるだけではなくて、顔のしわも少なくすることができ、長い間“青春”を楽しめます。自分で按摩をした後就眠すると、顔の血液循環が平穏になり、感覚神経が弛緩し、安らかに睡眠できると同時に、身体の若々しい活力のある栄養分が顔に運ばれ、あなたの容貌の輝きを増すことになります。



(ニ)沐浴法
 洗顔を採用します。顔の汚れを落として清潔な皮膚にし、顔の皮膚の血管と末梢神経を刺激し、血液循環を速くし、新陳代謝を促がし、皮膚の抵抗力を強くすることができます。顔が乾性肌に属する場合は、熱水による洗顔は少なくして、冷水による洗顔を多くすれば、皮脂を洗い流して、皮膚の乾燥を招き、抗菌作用のある脂肪酸が欠乏するというようなことを防ぐことができます。また、冷水による洗顔では皮膚の毛細血管は一時収縮しますが、1〜2分後には拡張してきて、血液循環は促進し、皮膚はしなやかで強靭、潤いがあってつるつる、弾力性があって、皺のできにくい肌に変わってきます。顔が油性皮膚に属する人は、温水による洗顔が宜しいです。皮膚の毛細血管を拡張させて、汗腺口を開き、垢がよく取れるようにし、皮脂を溶解し、皮膚を清潔にします。その後、冷水で洗顔すれば、毛穴を収縮させ、皮膚の鍛錬になります。皮膚の滋潤と光滑を保ちます。洗顔用の水は熱すぎないようにします。そうしないと、皮膚がたるんで皺が生まれます。
 顔の蒸気浴は、一種の美容洗顔の方法です。熱水による蒸気を顔に浴びます。薬蒸気を浴びるときには、“玉面美容方”を選用します。一般に熏蒸は5〜10分間必要です(図62)。



(三)推拿の穴位と手法

 @先ず按摩用のパウダーを顔面に万遍なく塗ります。中央の三指の指腹で両方の頬部を中心に向うように螺旋を描いて按摩(おさえもみ)します。約3分間(図63)。









 A四指をあわせて鼻根→鼻背→鼻尖部の順に推摩(スイマ、おしもみ)します。反復5回(図64)。











 B両手の拇指で額の中央から左右同時に太陽穴まで揉抹(ジュウマ、もみこすり)していきます。反復5回(図65)。








 C手のひらの小指球で外眼角のところを中心に向けて揉抹(ジュウマ、もみこすり)します。約1分間(図66)。











 D中の三指の指腹で眼輪の周りの肌に沿って環のように揉抹(ジュウマ、もみこすり)します,反復5回(図67)。











 E四指の指腹でロ輪の周りの肌を環を描いて擦抹(サツマ、こすり)します。反復5回(図68)。












 F両手の指腹で下から上に向けて軽快にリズミカルに下顎部と両頬を交替に弾撥(ダンパツ、はじき)ます。約1分間(図69)。 









 G三指をあわせて前額部を軽く叩きます。往復3回(図70)。












 H顔面の按摩が終了した後,手指で攅竹、太陽、迎香、頬車穴を按圧(アンアツ、おさえ)します。それぞれ、按圧30秒(図71)。



(四)注意事項
 @洗濯石鹸を洗顔に用いることはできません。皮膚を変えて乾燥させるようなことになります。皮膚を護る化粧石鹸もしくは洗顔用の乳液を使用すれば、皮膚は刺激されませんし、洗ったあと皮膚が乾燥することもありません。
 A推拿按摩をするときには、軽くなでる手法を用いて、筋肉繊維の走行に沿って按摩します。決して過重な力を用いないようにして、顔面のきめ細かで柔らかい筋肉繊維が傷つくことのないようにします。
 B按摩の方法では中指、無名指あるいは食指を加えて,下から上へ,中から外へ行い,そのようにしながらラセン状を描いて旋転していき、前に進むときには力をいれ、返るときには力を抜きます。筋肉を動かすのです、ただ表皮を摩擦するだけというのはよくありません。

HOME  家庭の沐浴推拿