十八、無月経



(一)概説
 発育正常な女性が満18歳になっても月経を来たさないものを、原発性無月経といいます。月経がすでに相当規律的に有った後に、あらためて3個月以上来潮がなく、妊娠や哺乳期間や閉経期ではない者を継発性無月経と言います。月経は視床下部―脳下垂体前葉―卵巣―子宮という特有の機能的な連鎖反応の上に成り立っていますが、その中のどれかの環節に弱いところや破壊されたところがあると、いずれも無月経をもたらすことがあり得ます。それぞれ関係のある器官の内分泌機能が失調したりあるいは器質な病変を起こしたり、子宮内膜が破壊したり萎縮した時あるいはホルモンの生成が影響を受けたとき、あるいは子宮内膜のホルモンに対する正常な反応が失われたとき、および精神な要因、環境が変化したとき、その他の内分泌腺の機能障害、消耗性疾病など、すべて無月経を発生させることがあり得ます。
 中医学では次のように説明します。陰陽が偏って盛んになったり衰えたりすることと気血の失調が無月経の主要な原因である。
  症状表現
  ①月経が数ヶ月にわたって来朝しない;
  ②常に腹部の脹満があってすっきりしない、あるいは疼痛;
  ③精神抑鬱、いらいらして怒りやすい;
  ④胸脇の脹満;あるいは倦怠感があって力がでない。



(ニ)沐浴法
 薬水浴を採用、薬用;全当帰60g、赤芍100g、川(キュウ)50g、川牛膝100g、剥寄奴60g、香附120g、紅澤蘭100g、益母草100g。水から煎じてカスを去り、濾した液に、入浴、あるいは坐浴、毎回15~20分間。



(三)推拿の穴位と手法

 ①手のひらを下腹において、時計廻りに腹を摩(なでる)、約3~5分間、腹部に温熱感が生まれたら宜しい(図221)



 ②手のひらを胸の両乳頭を結んだ線の中点の膻中穴において、上から下に向かって推して下腹部の中極穴に至って止める。反復50回(図222)。










 ③手指で腹部の穴位を点按(しあつ)。臍の下4寸の中極穴、臍の下1.5寸の気海穴、中極穴の傍ら2寸の帰来穴。各穴点按1分間、だるい、しびれる、はれぼったい感覚が生じたら宜しい(図223)。










 ④手指で下肢部の穴位を点按(しあつ)。一点は膝蓋骨の内上縁の上2寸の血海穴、膝下3寸脛骨外側の足三里穴、内くるぶしの上3寸の三陰交穴。各穴点按1~2分間(図224)。



 ⑤患者は伏臥位、滾(コン)法を用いて背部の膀胱経が循行する部位を5~10分間滾(コン、ころがす)(図225)。






 ⑥手指で背兪穴を点按(しあつ)。第七胸椎棘突起下の傍ら1.5寸の膈兪穴、第九胸椎棘突起下の傍ら1.5寸の肝兪穴、第十一胸椎棘突起下の傍ら1.5寸の脾兪穴。各穴点按1~2分間(図226)。



(四)注意事項
 ①注意して腹部を保温、冷水浴は禁。
 ②生もの冷い物はたべない。
 ③適当な体育鍛煉を行い、心情をゆったりとした状態に保つ。

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