十七、足関節捻挫



(一)概説
 足関節捻挫は、いわゆる“あしをくじく”というもので、これは関節捻挫の中では最も普通に見れる軟部組織の損傷による疾病のひとつです。捻挫はどの年齢でも発生しますが、青・壮年齢層は活動することも多くまた活動量も大きいので、その他の年齢層よりも発生率は高いです。臨床症状は足関節が腫脹し、疼痛が激しく、活動制限があり、甚しいときには歩くことができなくなり、他人にそこを触られるのを嫌がります。捻挫の後はすぐに運動や歩行を停止して、疼痛感や関節の運動制限が少し軽減するのを待って、現場から移動します。足関節捻挫の後、すぐに温湿布るいは活血(血行をよくする)薬を塗ったり、按摩をするのは誤りです。このようにすると局部の瘀血を増しますから快復によくありません。正しい処理方法はすぐに湿ったタオルあるいは冷湿布で止血し、血止を待って活血化瘀(血行をよくして瘀血をとる)薬を使用しても良いし、また按摩治療を行います。
  症状表現
  ①はっきりした外傷の病歴がある;
  ②道を歩くときに跛行、活動制限;
  ③足関節局部の腫脹、疼痛。



(ニ)沐浴法
 捻挫したばかりの時には、すぐに傷めた足を冷水に浸すか、あるいは冷湿布をします。捻挫して24時間経ったら、薬水洗浴法を選用して、“舒筋活絡方”を水から煎じて患部を湯気に当てたり洗ったりします。毎回20分間。



(三)推拿穴位和手法

 ①手指で足の外くるぶしの上3寸の懸鐘穴を点按(しあつ)、1分間。だるい、はれぼったい、おもたい感じがしてきたら宜しい(図214)。









 ②手指で腓骨頭前下方の陥凹部の陽陵泉穴を点按(しあつ)。約1分間(図215)。










 ③手指で足の足関節横紋中央の解渓穴を力を入れて、点圧1分間、患者は親指にしびれた感じがします(図216)。











 ④手指でアキレス腱と足の外くるぶしの間の陥凹部、崑崙穴を点按(しあつ)1分間(図217)。









 ⑤手指でアキレス腱と足の内くるぶしの間の陥凹部太溪穴を点按(しあつ)1分間。患者は足の前部と五指にしびれた感じがしてきます(図218)。









 ⑥患部を手指で下から上に向けて軽く摩(なで)ます、軽く柔かくして、腫れを引かせる作用を起します(図219)。



 ⑦手で下腿と足をつまんで、小幅に足関節を揺り動かす(図220)。



(四)注意事項
 ①捻挫後の24時間以内は、注意して休息し、活動は少なくして、再び捻挫したり出血することを避ける。
 ②捻挫後は直ちに冷湿布あるいは冷水に浸けて、止血をはかる。すぐに温湿布をしてはならない。
 ③捻挫の急性期(24~48時間以内)には、按摩の手法は軽く柔かく巧みにおこない、損傷による出血を重ねることのないようにする。快復期には手法はすこし重くしてもよい、特別に血腫があって粘着部分が出てきて、足関節の活動制限がある場合には、やや重い手法で粘着部分を剥離する、この方法でこそはじめて理想的な効果がえられます。

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