(一)概説
 人類に最もよく見みられる病気は“感冒”です。風邪、感冒はほとんどの皆さんが経験したことがおありでしょう。ちょっとした感冒の軽い症状で、鼻水が出て、くしゃみをするだけでも、気分の悪いものです。体質が弱い人は往々にして天気が変ったときや少し不注意だったりすると感冒になります。重い者は一年の四季を通じて安寧な日がほとんどなく、気落ちして、健康に影響してきます。更に重い者は感冒が往々にして他の病気を誘発します。気管支炎、喘息、高血圧、心臓病などです。ですから、一人一人が感冒に対して有効な予防をすることは有益なことです。もともと慢性の病気のある人はなおさら感冒の予防が重要になります。
 浴后の推拿は有効な感冒予防の方法ですから、ぜひ試してください。



(ニ)沐浴法

 冷水浴を採用しますが、一般の説では、水温20℃以下を冷水浴とします。個人の具体的な情況に基づいて冷水浴の方式を選択します。たとえば、冷水での洗面、冷水摩擦、冷水シャワー、冷水入浴等。一年の四季を通じて長期に続けば、体質の強化と、感冒の予防に顕著な効果があります(図42)。常々空気浴、日光浴、条件がある者は海水泳浴あるいは鉱泉水浴を行うと良いです。


(三)推拿の穴位と手法

 @両手で顔を搓ります。搓擦(ササツ、左右同時にこする)して紅く、暖かくなってきたら良いです。(図43)。








  A手指を後頭部の下の二つの太い筋肉の外側で、髪際の陥凹部、風池穴に置き、2分間点按(指圧)します。だるい痛みが走ったら良いです(図44)。







 B手指の先で両眉の中間の印堂穴を点揉します(おしもみします)。1分間。再に印堂穴から両側に分かれて推して行き、耳の側の太陽穴に至ります。5〜20回繰り返します(図45)。






 C片手あるいは両方の手のひらと指を背中、腰の督脉と膀胱経に着け、上から下へあるいは下から上へ按揉(アンジュウ、おさえもみ)すること3分間。最後に腰部の腎兪穴に留めて按揉すること2分間(図46)。


(四)注意事項
 @洗浴后、迅速に身体を拭いて干し、自分の手のひらでで頭や顔、胸、腹、四肢などを摩擦し、紅く、暖かくなるまで行います。あるいは、乾いたタオルで皮膚が紅くなるまで摩擦します。とりわけ冬季は洗浴后、このようにする必要があります。その後、もう一度穴位に推拿をします。
 A個人の身体の状況にもとづいて冷水浴の方式を選択します。体質が弱い人の場合は、冬季には冷水の洗面を選ぶべきです。これを続ければ、冷水浴と同様の効果があります。
 B就眠前、飲酒の后、満腹のとき、空腹の時、激しい運動や仕事の後は、冷水浴をするのは宜しくありません。
 C重い病気のある者、たとえば高血圧、虚血性心疾患など、それから冷水に過敏な者は、温水浴あるいは熱水浴后の推拿をえらぶべきです。

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