一、沐浴による保健と治療

(六)空気浴
 空気浴は特定の空気環境中に体表を露出してあるいは部分的に露出して、体表を直接周囲の空気に接触させ、空気の物理的特性や化学的成分を利用して身体を鍛錬し、疾病の予防をする一つの方法です。
 空気浴を行うには、空気が新鮮、浄潔な場所を選ぶべきです。たとえば、海辺、湖畔、川辺、森林、田園、山村、このような地方は汚染も少なく、含まれている酸素も豊富です。陰イオンの数も比較的多く、しかも太陽光線の放射する紫外線も多く、体表への気温の刺激効果を除いても、その化学物質は人の精神を興奮させますし、精神をゆったりと和ませます。もし、室内で空気浴をするときには、窓を開けて空気がよく通るようにしておきます。
 空気浴を採用して身体を鍛錬するには、主に空気の温度(気温)と人体の温度との差異が形成する刺激を利用します。気温の冷熱変化は身体の体温調節機能、大脳皮質と血管運動の反射中枢を活動させ良好な鍛錬ができます。冷たい空気の刺激は身体の表面の血管を収縮させ、血液を内臓に向けて流れさせます。暖かい空気の刺激は身体の表面の血管を拡張させ、血液を身体の表面の血管に向けて流れさせます。空気浴は血液循環の調節に対しても、人体の組織器官に対しても均しく良好な影響があります。空気中の微量元素と無機塩、酸素などは有機体の活力と免疫機能を向上させることができ、新鮮な空気を吸収して、血液中の酸素含有量を向上させることは心肺機能を保護する上で大変有効な援助になります。森林中の空気ビタミン(空気陰イオン)は市街地に比べて数十倍から数百倍ですから、これらの空気ビタミンを吸入することは鎮痛、止咳、解痙と利尿作用があり、高血圧、気管支喘息などの疾病に大変いい予防作用があります。海辺の潮風、森林の樹脂の香りは植物性神経の失調と内分泌の失調を調整します。空気中の散射する日光などは人体の生理活動に不可欠のものです。空気浴は慢性気管支炎、哮喘、肺結核、過敏性鼻炎、神経衰弱、虚血性心疾患,高血圧,身体虚弱などに対して大変好い補助的な治療作用があります。
 空気浴は気温の違いによって三種に分けることができます。

  1.温暖空気浴:
 夏季あるいは気温が20〜30°Cの間のときに、できるだけ身体を露出して、河や湖水のほとり、海辺や森林など幽静で、空気が新鮮なところ、あるいは広々と開け放たれ空気の流通の良い室内で、早朝7時前後に行うのが最適です。床の上で軽い運動をするのが簡単ですが、静かに横になってもいいし、野外を散歩したり、ゆっくり走ったり、摩擦したりしてもいいです。毎回15〜30分、少しずつ時間を延長します(図7)。

  2.涼爽空気浴:
 春秋季あるいは気温14〜20℃の間に行い、できるだけ身体を露出して、通気がよく、環境の優雅な室内あるいは室外に静かに横たわるかあるいは軽い運動をします。毎回10〜20分間,少しずつ時間を延長します。

  3.寒冷空気浴:
 冬季あるいは気温6〜14℃の間におこないます。まず、単の衣服を着用して空気の流通する室内で散歩したり、活動して、温度に適応した後に衣服を脱いで裸になり空気浴をおこないます。毎回3〜5分間、逐次時間を延長します。

 空気浴の後,保健と治療目的に応じて適当な推拿をおこないます。
 気温が5℃以下の時には、一般に裸で空気浴をするのは宜しくありません。病情の比較的重い場合,出血傾向、慢性関節炎、結腸炎など一切の虚寒性の病証はいずれも涼爽と寒冷空気浴を行うのは宜しくありません。

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