二、病気を予防し寿命を延ばす推拿



 推拿はまた“按摩”とも言います、古くは“按蹻”といいました。2000年以上前から推拿は医療に使われていました。中医学の経典著作《黄帝内経》には“身体はしばしば驚恐して、経絡が不通になり、病んで麻痺を生じます。按摩や醪薬でこれを治す”との記載があります。また《史記・扁鵲倉公列伝》には古代の推拿按摩で治病する医療の名手たちについて詳しく記載して“上古の時には、名医と言われた兪跗が病を治療するとき湯液、酒薬、鑱石、毒針・焼針を以って行わず、按蹻、導引を以ってこれを治した”とあります。これによって按摩推拿はすでに治病の専門技術だったことが分かります。隋唐時代には、太医院に推拿按摩専科が設けられて、治病する病症は更に広範になりました。《唐六典》に“按摩は、八疾、風、寒、暑、湿、飢、飽、労、逸を除くことができる”と載せています。それ以後の各王朝時代にも推拿按摩を大変重視して、臨床科目の一つとしています。現代に至り、推拿按摩は更に普及して、医学院に推拿の専科を設けて、優秀な専門家を育て、医院も推拿専科を設けていますし、地方によっては推拿専門の医院があります。推拿の保健治病の方法は、各家庭に取り入れられて、人々の疾病を予防する上で不可欠な医療方法の一つになっています。
 沐浴のあと推拿を行うこと、これはまさに沐浴と推拿の両者の有益を結合することです。沐浴は水、薬液、温熱などすべてによって人体の体表を刺激しますが、これは一種の面的な刺激です。推拿は人体の経絡、兪穴を各種の手法によって刺激しますが、これは一種の点的な刺激です。沐浴は人体の気血を流暢にし、毛穴を疏通し、血液循環を促進し、新陳代謝を増強し、筋肉の緊張度を低下させ、疲労を除き、睡眠を促進することができますが、さらに皮膚を通して薬物が吸収されやすくなることは現代医学も認めています。つまり薬物の浸透と吸収は皮膚の湿度に比例し、皮膚の湿度が高ければ浸透と吸収能力は強くなるということです。水の機械的刺激は、呼吸運動と気体の代謝を強め、体表の血管とリンパ管を圧迫し、体液の回流を増加させ、体内の体液の再分配を引き起こします。水中の微量のミネラルが、身体と水の間の熱交換を変化させ、水の治療作用を強めます。推拿は経穴を刺激しますが、多種類の堅柔相補う手法、軽重不同の方法を運用し、また特定の技巧による按摩手法があります。それによって直接人体の経絡や穴位に作用し、さらに経穴と臓腑の特殊な関連を通して、疏通経絡、行気活血して(経絡の通りをよくし、気をめぐらし血に活力をつけて)、臓腑機能の作用を調整します。沐浴して筋肉を弛緩させ、全身がリラックスしたところで、推拿を行えば、さらに良い効果を発揮します。 沐浴のあと推拿を行えば、充分に両者の作用を発揮して、調和のとれた完全な結合となり、沐浴と推拿を個々の家庭で採用すれば、皆さんに、健康と幸福、円満と快楽をもたらすでしょう。

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