一、沐浴による保健と治療


(五)日光浴
 日光浴は天然の日光を利用して、身体の局部あるいは全部を照射し、身体を鍛錬し、疾病を治療する方法です。
 日光浴は条件に基づいて場所を選択すべきです。簡単な日光浴は、ただ天気晴朗で、日光が十分であれば、室外あるいはバルコニーですぐにできます。ただし、最も好いのは野外の空気が清新で、汚染が比較的すくない川、湖、海の近くにある草地や砂地で行うことです。
 日光浴の作用は主に太陽光線中の紫外線の生化学的作用と赤外線の温熱作用を利用するものです。皮膚の中には脂肪酸の1つであるエルゴステロールという物質がありますが、これが紫外線によってビタミンDに変わります。その後活性化されて、腸管でのカルシウムの吸収を促す役割を果たします。小児くる病、老人性骨粗しょう症に対して予防作用があります。紫外線はまた皮膚表面の病毒、病原菌を殺滅して、病原の侵入を防ぎます。赤外線は局部の温度を上昇させ、血管を拡張し、血流をスムーズにして、血液循環を改善し、新陳代謝と組織の再生を促進し、酸素の吸収利用を増加させ、虚血性心疾患,気管支炎の予防に有益です。赤外線はまた神経を興奮させ、内臓器官の活動を強め、記憶力を向上させ、食欲を増進するなどの効果があり、さらに消炎鎮痛作用があります。日光浴は、肥満症、風湿および類風湿性関節炎、慢性気管支炎、貧血、栄養不良、くる病、糖尿病,老人性骨粗しょう症、神経衰弱、慢性的な皮膚の潰瘍などに、大変いい補助治療の作用があります。
 日光浴は自分の状況に応じて、局部浴あるいは全身浴を選択します。

  1.局部日光浴:
 照射する局部を日光の元に露出し、その他の部位は白布で遮蔽します。日光浴は一般に頭部には照射せず、麦藁帽子を載せるか、日傘を用いて頭部を遮蔽し、サングラスをして太陽の輻射光線で眼が損傷するのを防ぐと宜しいです。一般に臥位をとるとよく、日照時刻は夏季は午前9〜10時、その他の季節は10時以降、毎回30分前後照射するのが宜しいです。夏季、気温が高すぎるとき(30℃以上)には日光浴をしないほうが宜しいです。

  2.全身日光浴
 一般に臥位をとり、全身を露出して、伏臥したり、仰臥したりして、順序良く照射しますが、頭部は草帽子あるいは日傘を用い、サングラスをかけます。照射時間は,それぞれの側を30分前後するのが宜しいです(図6)。

  日光浴のあとは、蔭の涼しいところに静かに横になって休息し、保健あるいは治療目的に基づいて、推拿方法を選択します。

 日光浴の過程で、もし皮膚が顕著に紅くなったり、疼痛したら、照射しすぎですから、照射を停止します。めまいや眼がくらんだり、気分が悪くなって吐きたくなるとか、耳鳴りなどの症状が現れたら、直ちに蔭の涼しいところに静かに横になって休息し、日射病や虚脱などの病症が出現しないようにします。過度の疲労や空腹のときなどは日光浴を行いません。活動性肺結核、心臓衰弱、高熱などの病人は日光浴は禁忌です。

 注意:紫外線のマイナス面
 紫外線は、波長の長さでUVA、UVB、UVCの3種類に分かれますが、オゾン層に吸収されないUVAとUVBが肌や健康によくないとされています。
 UVA(波長400〜320ナノメートル)は表皮を突き抜け、真皮にまで到達します。たるみ、しわなどの老化現象の原因になります。肌が黒くなる日焼けを起こすのもこれです。
 UVB(同320〜280ナノメートル)は表皮にあたり、肌が赤くなる日焼けを起こします。長時間浴びるとシミ、ソバカスになります。
 さらに、紫外線は皮膚ガンなどの原因にもなります。紫外線によって、皮膚に活性酸素ができ、それによって発ガンします。
 対策としては、一般的なのが日焼け止めを使うことです。UVカット製品も広く出回っており、成分表示で効果が明記されているので、場面に応じて使い分けるとよいです。
 日傘を差したり帽子を被るのも効果的です。最近では、晴雨両用ユースの傘も増えているので、今の時期、日傘と雨傘の両方を持たなくてもすみます。
 太陽が雲に隠れていても、紫外線は晴天時の6割は射しています。雨の場合でも2割弱が地表に届きます。紫外線対策はいつでも必要です。
 また、UVカットというと、女性を中心に考えがちですが、実は男性の方が紫外線の感受性が強いので、男性こそ紫外線対策を万全にすべきでしょう。

 (下線部分は別の資料からの引用部分です。)

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