一、沐浴による保健と治療



(一)冷水浴
 冷水浴の水温は20度以下でなくてはなりません。
 皮膚は、人体と外界の環境との間の一つのバリアーですから、身体を保護したいのであれば、何よりもまず皮膚を保護しなくてはなりませんが、冷水浴による鍛錬は正に皮膚を護り、皮膚を健やかにし、体を強くする良い方法です。冷水浴は人体の寒冷に対する適応能力を向上させることができます。寒冷刺激により、皮膚の血管は収縮し、大量の血液が内臓と深部組織に流入します。もし寒冷刺激をさらに受け続けると、身体は皮膚に熱量を加えて対抗する必要から、皮膚の血管は今度は拡張し、内臓と深部組織の大量の血液もまた皮膚に向かって流れます。このように、冷水浴をしている過程で、血管は収縮したり、拡張したりする運動を経験し、身体は“寒冷期”と“温暖期”という冷熱変化を経験し、呼吸は深く速くなりますので呼吸器系統の能力が増強し、身体は耐寒できるようになり容易には寒さに負けなくなります。血管の縮小・拡張運動は中枢神経の支配と調節に依存していますから、長期間冷水浴を行っていれば、神経反射を通じて大脳に作用し、中枢神経の機能を増強し、脳細胞の老衰と死亡を防止します。冷水浴は心臓血管の機能を増強し、動脈硬化を防止し、血管の弾力性と強靭さを増強し、心筋の弛緩と収縮の機能を鍛錬します。消化器系統の機能を増強し、胃酸の分泌を増加させ、食欲を増進します。皮膚の健康美を保持することができます。冷水浴は上気道感染の予防、風湿による熱、腎炎、関節炎、肥満症、虚血性心疾患等すべてに一定の作用があります。
 冷水浴は神経を興奮させ、心臓血管機能を刺激し、免疫能力を高め、体質を強壮にし、人体の外界環境への適応能力を向上させます。冷水浴は暑いときに行うのは気持ちがいいし楽しみです、寒い時期に行えば信心、勇気、気力、心身を本当に鍛錬してくれます。

 冷水沐浴は、具体的な状況に基づいて沐浴方法を選用します。

 1.冷水シャワー:
 シャワーをするときには、はじめから冷水を全身に隈なくかけるのではなくて、まず冷水を手足をかけて濡らすか、湿ったタオルで胸と背中を擦り、身体が適応するのを待って、その後全身にかけるのですが、頭にはかけない方がいいです。一般に時間は3分から15分です。冷水浴は、“寒冷期”、“温暖期”さらに“寒戦期”を経過します。寒戦期は前の両期に続いて冷水シャワーを継続していますと、血管はもう一度収縮しますが、収縮力度が減弱しているために、静脈血の留滞が出現し、身体の筋肉が収縮して振るえるのです。冷水浴は“寒戦期”の前に終わることが必要です。そうしないと身体に有害です。浴後は迅速に身体を擦り、また乾いたタオルで皮膚が赤くなるまで擦り、発熱して身体が温まって気持ちよくほぐれたら良しとします。

 2.冷水摩擦:
 冷水で湿らしたタオルで、身体の局部あるいは全身を摩擦します。皮膚が紅くなって、暖かくなったら止めます。冷水摩擦が終わったあと、乾いたタオルで身体の表面の水分をふき取きとる必要があります(図1)。

 3.冷水入浴;
 浴槽に冷水を注入して、身体の局部あるいは全身を水の中に沈めます。入浴時間は適度としますが一般には1〜3分とします。浴槽から出たら、身体を迅速に擦り、乾いたタオルで身体を紅くなるまで擦り、発熱させます。
 入浴後、適宜、推拿按摩方法を選びます。

 一般に、年寄りや身体の弱い人、月経期の婦人、虚血性心疾患の患者、その他一切の虚寒証の病人は冷水浴を選用しない方がよいといわれています。

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