六、四肢関節痛



(一)概説
 四肢の関節疼痛の発生と関節の骨質、関節嚢、靭帯、筋腱などの組織構造の病変とは関係があります。中医学で言う“痹証”の範疇に属します。中医学では、この病は主に臓腑の気血虧虚、正気不足によって営衛の気不固となり、風、寒、湿の三邪気が虚に乗じて内に肌腠、経絡に入り、深く筋骨に伏して、関節に流注することによって発症するとします。
  症状表現
 ①関節疼痛、屈伸不利;
 ②常に天気の変化および過労などによって誘発;
 ③機能活動の制限。



(ニ)沐浴法
  薬物蒸汽浴あるいは薬水浴を採用します。習慣的に温泉入浴や日光浴を行うのも大変良好な治療作用があります。



(三)推拿の穴位と手法
 1.肩関節痛

 ①両方の手のひらを相対して力を合せ、患肩の両側を同時に搓揉します。反復5分間(図129)。









 ②一方の手で患肩の痛点を按撥し、別の手で同時に患肢を前屈、後伸、旋転運動をさせます。2分間(図130)。





 ③手のひらを着けて、患肩の痛む処を按揉しますが、按えながら揉むのです。3分間(図131)。










 ④手指で患側の鎖骨肩峰端の下縁、肩関節前面の陥凹部肩髃穴と第七頚椎と肩峰を結んだ線の中点肩井穴を点按します。それぞれ点按1分間(図132)。






 ⑤小指球あるいは手のひら、拳で、リズミカルに患肩を拍打します。1分間持続(図133)。








  2.上肢関節痛

 ①両手の拇指で患者の肩背部、肩上陥凹中の肩井穴を按揉します。だるさ、しびれ、はれぼったさを感じたら宜しい(図134)。










 ②手指で肩端前面の陥凹部の肩髎穴を按揉します。だるさ、しびれ、はれぼったさを感じたら宜しい(図135)。
 訳者注:図135は肩髃穴となっているが、本文では肩髎穴としてあり、図の肩髃穴は図に位置からしても肩髎穴の間違いと思われる。





 ③上肢の疼痛区域を手指で揉按するか、あるいは手背で滾按します。毎回3~5分間(図136)。





 ④手指で手背尺側で三角骨前縁の腕骨穴を点按し、手背腕関節紋の線上5寸の支正穴、肘関節横紋の外側曲池穴の下2寸の手三里穴を点按します。それぞれ2分間(図137)。







 ⑤拇指で肘を曲げたときできる肘関節横紋の橈側端の陥凹部曲池穴を按圧します。だるさ、しびれ、はれぼったさを感じたら度とします(図138)。




 ⑥手のひらの中心を上肢部の皮膚に密着させて、上下に速く擦動して、温熱感を生じたら度とします。(図139)。




 3.下肢関節痛

 ①拇指あるいは肘部で臀部外側陥凹部の環跳穴を点按します。だるさ、しびれ、はれぼったさを感じたら宜しい(図140)。








 ②両方の手のひらを相対して膝関節の両側を搓揉します。持続3分間(図141)。











 ③手のひらで下肢の両側の皮膚を上下に擦します。力は適度とし、先ず内側面、その後外側面、温熱感を生じたら度とします(図142)。














 ④手背滾法で下肢疼痛部を、3~5分間(図143)。






 ⑤手指で膝窩横紋の中点委中穴を点按します。だるさ、しびれ、はれぼったさが出たら度とします(図144)。









 ⑥拇指で膝の外側下方3寸の足三里穴を揉按します。左右それぞれ3分間(図145)。








 ⑦手指で下腿の腓腹筋を拿捏します。上から下へ、力は適度に、だるさ、しびれ、はれぼったさを生じたら度とします(図146)。


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