三、食欲増進の沐浴推拿



(一)概説
  “民は食を以って天と為す。” 飲食は身体の栄養物質の源泉を供給します。人体の生長、発育を維持し、各種の生理的機能を完成し、生命生存に不可欠な条件を保証します。われわれは日常生活にあっては飲食方法と飲食物の適・不適に注意し、自分の要求に基づいて適当な食物を選択し補養しますし、そうして更に有効に生命活動の作用を発揮させ維持することができますし、それによって人体の健康を保証できるだけではなく、さらに人体の新陳代謝能力を高め、寿命を延ばします。
 中医学の説明:人体の生命活動の持続と気血津液の生化(エネルギー、血液、生理上必要な体液の生成)は、すべて脾胃の運化による水穀精微(消化器で消化吸収した飲食物のエキス)に依存しており、したがって脾胃を気血生化の源(消化器はエネルギー血液を生成する源)、“後天の本”という。だから、脾胃(消化器)の機能が強健であるか否かは、五臓六腑(内臓)の機能の盛衰に関係してくるし、食欲が正常か否かにも関係してくるので、人体の健康を保持するうえでの重要な条件である。
 旺盛な食欲を保持することは、おいしいものを一杯食べて口を満たし、美味で結構なサカナを味わって愉快に悦ぶということだけはなくて、身体に必要な栄養物質を供給して、健康な身体にすることができるということです。浴后の推拿には良好な健脾消食(消化器を健やかにし食物を消化吸収する)という作用があり、あなたの食欲を増進します。



(ニ)沐浴法

 熱水シャワー、あるいは鉱泉水入浴を採用し、適当な水温で、時間は長すぎないように、一般には15分前後とします(図36)。日光浴の後推拿をするのも良いです。



(三)推拿穴位和手法

 ①手のひらを上腹部の中脘、下腹部の関元穴の処に押えるようにおいて、時計回りにゆっくりと3分間摩転(マテン、なでまわし)します(図37)。











 ②手のひらで上腹部の上脘穴から下脘部まで上から下へと摩擦(マサツ、なでさすり)します。反復して3分間(図38)。









 ③手のひらで背部の脾兪、胃兪穴の処を、3分間揉按(ジュウアン、もみおさえ)します(図39)。









 ④手のひらと指で背部の膀胱経の上を反復して搓擦(ササツ、上下に往復して擦る)します。皮膚の擦り傷を防止するために、まず背中に少しワセリンを塗って潤滑剤とします。速く摩擦して皮膚を暖かくさせ、発熱したら止めます(図40)。



 ⑤手指で脛骨外側の足三里穴を点按(指圧)します。両側交替に行い、だるいさ、しびれ、脹れぼったさなどを感じたらよしとします(図41)。



(四)注意事項
 ①沐浴は食前、食后30分以内に行うのはよくありません。
 ②身体の素質を鍛煉し、食欲を増進し、消化能力を強化します。
 ③食事をするときにはよく噛んでゆっくり飲み込みます。狼や虎のようにがつがつと食べ、がぶがぶ飲んではいけません。
 ④食事をするときには環境と雰囲気に注意し、不愉快なことは避けます。
 ⑤一日三食あるいは四食は規律をもって行い.過飢あるいは過食をしてはいけません。

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