小児栄養不良はよく見られる慢性の栄養缺乏症の一種です。3歳以下の乳幼児に多く見られます。その原因は乳汁不足により、摂取する栄養成分が充分でないことによることもあります;食べる量が多すぎたり、あるいは油っこいものや肉類を食べさせるのが早すぎたりしても乳幼児の消化機能障害をもたらすことがあります;さらには病後の消化吸収力の低下、腸の寄生虫なども原因にあることがあります。症状が軽い者の症状は、身体がやせて、顔色が悪くて黄い、食欲低下、ロ渇して飲みたがる、いらいらして声をあげて泣く、大便は薄くて水様便か乾いてカチカチ;症状の重い者は、発育が遅れ、極度に痩せて、お腹は膨隆し、甚しい時には青筋が浮き出る、毛髪は枯れて黄くまばら、精神状態も萎えて気力がなく、なき声もよわいなど。 中医学では“疳積”、“厭食”といいます。 症状表現 @顔色が悪くて黄色っぽく筋肉は痩せ、毛髪はまばらで、体重は正常の平均値を下回っている; Aイライラと声を出して泣きあるいは精神状態がなえて気力がない、偏食の習慣あるいは食べたがらない、口が乾いて飲みたがる、大便はときには干いたりときには薄い、指紋の色も淡い。 B随伴症状として目がなめらかに動かずまぶしがる、体温が低く唇がかわいている、小便がすくないなど。 |
温(熱)水入浴を採用、水温は38〜45°C、ゆるやかに加温、入浴時には小児の頭部が水面から出るように注意、水中ではたえずタオルで軽く小児のお腹と脊背部をこする、毎回入浴は10〜20分間(図252)。日光浴を採用してもよい、一般に天気晴朗な日の、朝10時前後に、小児を室外の日向に連れ出して遊ばせます、もし夏秋の季節であればできるだけ小児の腕や腿を露出して、皮膚がさらに多くの日光を受けるようにすると良いです。毎回照射30〜50分間。 |
@拇指の指紋のところを小児の拇指の末節の指紋面脾土穴に密着させて、時計方向に旋転100回。小児の拇指の外側縁に沿って拇指の橈側を、指尖から指根に向けて直っすぐに推してもよい。100回(図261)。 A拇指で膝眼の下3寸(小児の指で3横指)、脛骨外1横指の足三里穴を按揉(アンジュウ、おしもみ)、一般に両側の穴をとって、毎穴旋転按揉60回(図254)。 B手指で両肋骨弓が交叉するところから開始して、下に向かって直っすぐにへそまで推す、両手を交替して推し50〜100回(図255)。 C両方の手のひらをそれぞれ小児の両腋下脇胸部におき、前後に擦摩(サツマ、こすりなでる)、50〜100回(図256)。 D手のひらの付け根を小児の腹部につけて、へそを中心として時計方向にへそをめぐって旋転摩腹(マフク、腹をなでる)60回;時計方向に摩腹30回、次に逆時計方向に摩腹30回でもいい(図257)。 E小児は伏臥位で、脊柱の両傍に捏脊(ネツセキ)手法を行う、即ち両手の拇指をそれぞれ脊柱の両側に置き、両手の食指、中指と拇指とで力を入れて皮膚を捏拿(ネツナ、つかむ)、同時に拇指を前に向けて推進する、殿部から頚部までを一遍、第二遍目は三回つまむ毎に一回つまみあげる、そうして真っすぐに頚部にいたる、第三、五遍の方法は第一遍と同じ、第四遍の方法は第二遍と同じ(図258)。 F食指と中指の指腹で第7頚椎から尾骨までを、上から下へと直推50〜100回(図259)。体温の低い者に最適。 |
@すみやかに小児栄養不良の原因を捜し出し、時を移さず原因を正すとともに治療する。母乳が不足する者には、優良な蛋白質を含む代乳品を増加する;大便の定期検査で蛔虫の卵があった小児には、医師の指導の下で駆虫薬を服用させる。 A合理な離乳食にする、メニューを変えて食欲増進を図る。 B大便が乾いて硬い小児には、適当に食物繊維の多い食品、たとえば野菜、くだものを増加;大便がうすく水様便の小児には生もの冷いもの、油っこい食品を減少し、あわせて消化薬による治療を行う。 C重症の栄養不良の小児は、薬物治療を主として、沐浴推拿はただ補助治療の手段の一つとする。 |