ニ十七、小児咳嗽



(一)概説
  小児咳嗽(せき)は咳嗽(せき)を主な症状とする小児の病気を指し、最もよく見られるものだがこれは感冒によるものです。
 中医学では:五臓六腑の疾病は均しく咳嗽を引き起こすことがある、ただしすべてこれは肺気がスムーズな流れを失ったことが主要な病のメカニズムである。小児の肺はひ弱なので,寒や熱による被害を受け易く、肺気失宣(肺気がスムーズな流れを失う)ことによってせきがでる。離乳食が不適当で、脾虚痰湿内生,阻滞肺竅,痰気上壅(消化機能が損なわれ、消化器が弱って病的な水分が生まれ、肺に滞って、痰が上を塞ぐ)となってセキが生まれ、はなはだしいときにはほえるようなセキになる。本病は西洋医学のいわゆる上呼吸道感染、気管支炎などの病気をふくみます。
  症状表現
  ①ひとしきりセキが出る、ゼロゼロ音はないこともり、あることもある;
  ②常にくしゃみや、涙を流す、鼻づまり、呼吸が荒い、顔が赤いなどの症状を伴っている;
  ③精神状態が優れない、食が減るなどの症状を伴うことがある。



(ニ)沐浴法
 熱水入浴の方法を採用、水温は40℃前後の保持、小児の頭部を支えて水面から出るように注意し、同時にタオルで小児の胸腹部と背部を擦る、入浴は10分間でよい。感冒によってせきをするものには温泉入浴も宜しい。



(三)推拿の穴位と手法

 ①中指を小児の胸部の両乳頭を結んだ線の中点・膻中穴上におき、時計方向にまわし揉む50~100回、両手の拇指を使って膻中から外に向かって分けて推すのもよい(図281)。





 ②両手の拇指で両乳を結んだ線の中点膻中穴から下に向かってまっすぐにへそまで推す、あるいは手指で膻中からへそに向かって摩擦する、50~100回(図282)。










 ③拇指と食指を相い対して力をいれて肩上の僧帽筋、肩井穴をつまむ、両手を同時に操作し、20~30回(図283)。








 ④拇指で自小児の背部の肩甲骨の内側縁を、上から下までそれぞれ同時に推す50~100回(図284)。












 ⑤手指を小児の背中の正中におき、第7頚椎の下の大椎穴か肩甲下角を結んだ線の中点至陽穴まで摩擦する50~100回(図285)。





 ⑥拇指を小児の無名指の掌面におき、指根から指端に向けてくりかえし肺経を直推する100~300回(図286)。




 ⑦拇指を小児の外膝眼の下3寸、脛骨外側1横指の足三里穴におき、ツボを揉んだりつまんだりする50~100回、せきと痰の多い小児に適している(図287)。



(四)注意事項
 ①入浴後はすぐにバスタオルで小児をくるんで身体を擦って干し、推拿按摩をするときには保温に注意する。
 ②身体を擦る手法を使うときにはきつくしないように、小児の皮膚を擦傷しないようにする。小児の皮膚が擦傷することを防ぐために、局部あるいは術者の手に適量のタルク粉あるいは汗取りパウダーを塗るとよい。
 ③油っこいものや消化しにくい食品はあまり食べさせない。

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