自学推拿図説


     -自分で学ぶ,あん摩マッサージ指圧-


主編:張義炯
出版:安徽科学技術出版社
1990年4月1版
日本語訳:青山義徳(鍼灸師)
同援助:小川英子(東北大学中国語講師)
     :山口信子(あんまマッサージ指圧師)


内 容
 本書は推拿を愛好する人のために編集した自学入門書です。
 全書の推拿手法の図は570幅。その中、成人推拿は475幅、小児推拿は95幅。
 基本手法、関節運動の手法、部位別の手法及び小児推拿の手法に分類して解説します。
 この書にはわが国の伝統的な推拿手法の継承を基礎としているもの、また近年わが国で新たに発展した各種の有効な手法を収集整理したもの、さらに作者の独特の手法が含まれます。内容は清新で豊富、整然として系統的、文章は通俗的で簡潔でねられており、図例ははっきりして正確なので一目瞭然、したがってわかりやすく、学びやすいです。
 本書は臨床に携わっている推拿の医師や整形外科の医務員の参考にも供するものです。


編者の話
 私が推拿手法の臨床と、教授・研究に従事してからかれこれ30年になります。50年代の末に私が上海推拿学校で研修したときに、生物力学的な観点から一指禅法について分析研究ををおこない、上海中医学院の学報に論文を掲載したことがあります。そのとき以来、推拿の手法を整理したいということが念頭にありました。多年にわたり、私は非常に注意深く推拿手法の各種の動作、治療部位と治療効果などを捜し集めてまいりました。誰の手法であるかは問わず、ただ治療効果が好いかどうか、特徴があるかどうかについて私は真剣に学習研究し、同時に記録してきました。長期間に渡る積み重ねと臨床実践を通じて、度重なる困難と障害を克服して、ついにこの書を世に問えることになりました。
 本書は中医理論を指導理論としてはいますが、現代医学の知識についても非常に注意を払って充実させました。文章は通俗的にわかり易く、簡明にして要領よく、内容は努めて豊富にかつ新鮮に、そして臨床に望んで実用的であるようにということを準則としました。挿絵は手法を行うときの姿勢、着力点および運動の方向を示すことを重点にし、正確で、明晰で、一目瞭然にし、図中の動作が不足するものについては、文章で補充説明しました。それぞれの手法の概念、分類および配列は推敲を重ねて、できるだけ論理的合理的にしました。比較的技巧性の強い常用手法、たとえば滾法、一指禅法などについては、重点的に詳細な解説をしました。手法の解説順序は一般概念、操作方法、要領、適応部位、作用、適応症及び注意事項という順序にして、わかりやすく、学びやすく、学べば理解できて、理解すれば用いられて、用いれば則効果が出るという具合にしました。
 書中の大多数の挿絵は賈慶奎、許紅海の両氏が私の行う動作に基づいて絵にしたものです。一部の挿絵は写真に基づいて描画しました。撮影に際しては肖国華氏の多大なご援助をいただきました。ここに衷心からの感謝を申し上げます。
 私の医学知識が浅薄なため、閲覧した資料が限られているため、加えて描図や写作の経験不足のため、書中の錯誤は免れません、多くの読者の方の批評と誤りの指摘を切に希望いたします。
         張義炯 安徽省半湯温泉療養院にて
                         1990年4月
訳者注:「滾法」の「滾(こん)」という文字は「扌」偏ですが、IMEパットが対応していないので「滾」で代用します。なお、滾にはころがすという意味もあります。


翻訳に当たって
①手法の名称
 ⅰ基本手法と部位別手法では原著の手法の名称をそのまま生かし、参考のために、括弧内に、類似の手法の日本名がある場合にはそれを記しました。
 ⅱ関節運動類手法では操作内容を勘案して訳語を作ったものもあります。
②証名や作用名:原著の中国名の後の括弧内に、説明を記しましたが、私の独断的な解釈による部分が多いです。晴眼者は文字を見ておよその見当がつけられるのですが、視覚障害者の場合文字が見えないので、多少でも参考になるかなとの考えで、追加したものです。


目次一覧表

HOME BACK