〔部位〕 外後頭隆起の下枕骨下、僧帽筋隆起の外側上部の陥凹部。 〔操作方法〕 A 勾揉法(カギ揉捏法): 患者は仰臥位あるいは伏臥位、術者は患者の頭の後方に座り、両手の中指の指腹で両穴を20~30回揉捏します。 B 平揉法(ヒラ揉捏法): 患者は座るかあるいは伏臥位、術者は片手の母指・示指あるいは両手の母指の指腹で、両穴を20~30回揉捏します。 C 一指禅法 患者は座位で、術者は一指禅法(≒挫き手)あるいは撒手一指禅法で両穴を1~2分間操作します。病情に基づいて、単穴あるいは両穴同時に操作します。 〔適応症〕 後頭痛、項強、感冒、鼻塞(鼻づまり)、落枕(寝違いなど)、高血圧、神経衰弱。 |
〔部位〕 頚部で両側の耳の付け根から鎖骨上部まで。 〔操作方法〕 患者は座位で、術者は患者の前方に立ち、両手指を自然に屈曲して、先ず両手の小指球で患者の両耳の付け根の下をおさえ、その後前腕を内旋して、母指球を着けて下に向って鎖骨上窩まで軽擦します。反復10~20回。 〔適応症〕 頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、頚僵(頚のこわばり)、心悸(動悸)、高血圧。 |
〔部位〕 風池穴の下方、僧帽筋起始部外縁から肩井穴まで。 〔操作方法〕 A 患者は座位で、術者は患者の前方に立ち、両手の四指を組み合わせて、前腕を内旋して、両母指の指腹で、風池から開始し、下に向って僧帽筋の外縁に沿って軽擦し断続的に挟み圧迫する、各3~5遍。挟み圧迫では指のカは用いないで、両手の肘以下でおさえていきます。 B 患者は伏臥あるいは坐位、術者は患者の前方に位置して、両手の五指を組み合わせて、手根部で後頚部を挟み圧迫、10~20回。挟み圧迫するときには手根部の力ではなく肘からの力を使います。 C 患者は座位で、術者は患者の背後に位置して、両手の五まっすぐに伸ばして開き、母指は上方に、四指は外下方にして、母指の指腹で、風池穴から下に向かって後頚部を挟み圧迫します。3~5遍。 〔適応症〕 頚椎病、感冒、頭痛、落枕(寝違いなど)、高血圧、神経官能症(神経の機能障害による症状)。 |
〔部位〕 後頚部の筋肉。 〔操作方法〕 患者は座るかあるいは伏臥位、術者は両手の母指の指腹と母指球で、頚椎棘突線の両側を、後頚部の側方に向かって左右同時に軽擦します。30~50回。 〔適応症〕 頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、悪心、嘔吐、頚椎病、落枕(寝違いなど)。 |
〔部位〕項部両側斜方肌。 〔操作方法〕 A.患者は坐るかあるいは健側を下にした臥位で、やや高い枕を敷く。術者は両手を並べて把握揉捏を行います。項頚筋を把握揉捏したあ交替につまみ上げたり緩めたりします。手法は軽く柔らかく、しかし力は深部まで浸透しなくてはなりません。反復20~30回。 B.患者は座るかあるいは伏臥位、術者は片手で把握揉捏法、母指と四指を分けて項頚筋の両側に置き、交替につまみ上げたり緩めたりします。20~30回。痛点部位には点状に揉捏を加えます。 〔適応症〕 落枕(寝違いなど)、頚椎病、感冒初期、頚肩部強痛、神経衰弱。 |
〔部位〕頚部の側方で、胸鎖乳様突起筋の前縁と後縁。 〔操作方法〕 A.患者座位、術者は患者の前方か後方に立ち、示指、中指、無名指の指腹で、耳のつけ根と乳様突起の下方から左右同時に鎖骨上窩に向かって軽擦します。反復20~30回。沈静安神(精神安定)、降血圧(血圧を下げる)作用があります。 B .A法と同じ体位ですが、術者は示指、中指、無名指の指腹で、乳様突起の後下方から胸鎖乳様突起筋の後縁にそって鎖骨上窩に向かって左右同時に軽擦します。反復20~30回。主治はヤク逆(しゃっくり)、偏頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、目脹(眼がはれぼったい)、神経衰弱。 C.B法の操作方法に準じて、乳様突起の乳様突起前下方から胸鎖乳様突起筋の前縁に沿って鎖骨上窩に向かって左右同時に軽擦します。降圧安神(血圧を下げて精神を安定させる)作用があります。 |
〔部位〕 後髪際から第七頚椎に至る頚項部。 〔操作方法〕 患者は伏臥あるいは坐位、術者は患者の側面に坐るかあるいは立つ。 A. 術者は片手の母指あるいは四指の掌側面で、上から下へと反復して軽擦、300~500回。 B. 術者は片手の母指あるいは四指の指腹で、風府穴から開始して下に向かって、棘突起線上を按え揉みして大椎穴にいたって止める。反復20~30遍。 〔適応症〕 噯気(げっぷ)、呃逆(しゃっくり)、神経性嘔吐、高血圧。 |
〔部位〕 頚内側の三角区。 〔操作方法〕 患者は仰臥位、術者は患者の側方に位置する。 A.術者は母指あるいは示指・中指・無名指の指腹で、両乳様突起の前方と下顎骨下縁の内面を、軽い揉捏法で繰り返し5~10遍操作。 B.片手の母指・示指による揉捏法、下顎下縁から喉頭を経て胸骨切跡に至るまでを、反複して5~8遍操作。 C.片手の母指・示指・中指の三指で喉頭を按えるのですが、中指を上方におき、母指・示指を分けて両傍をおさえ、上下方向に軽く緩かに揉捏20~30回。 D.片手の母指・示指あるいは示指・中指の指腹で、ニ指を分けて下顎下縁から喉頭の両傍を両胸鎖関節に至るまでを軽るく圧迫30~50回、手法は軽快にして柔和、あまり力を加えないようにします。 〔適応症〕 慢性咽頭炎、咽喉痛、声唖(発声障害)、慢性気管炎、悪心嘔吐。 |
〔部位〕 胸骨柄上縁、頚窩(胸骨頚切痕)の内下方。 〔操作方法〕 患者は仰臥位、術者は患者の左側に立ち、右手の示指あるいは中指の先端で、掌側面を上に向けて、指先を薄い布で包むかあるいは衣を隔てて入れます。患者の吸気時には手指は裏に向かって探く入れ、呼気時には手指は動かさないで、患者の呼吸回数が増加するにつれて、手指を少しずつ深く入れ、患者が呼吸困難を感じたときに挿入を停止します。重複は一回です。 〔適応症〕 呃逆(しゃっくり)、支気管哮喘(気管支喘息)、神経性嘔吐。 |
〔部位〕 鎖骨中点上縁の陥凹部、胸鎖乳突筋の後縁から2センチの処。 〔操作方法〕 患者は仰臥位あるいは坐位。術者は患者の側方に位置して、片手の母指あるいは中指の指腹で患側の穴を圧迫揉捏します。手法ははじめは軽く次第に重くしていき、患者が同側の上肢に酸脹麻熱感(だるい、はれぼったい、しびれる、暖かい感じ)がしてきたら宜しい。ただし、大きすぎる圧力はかけないように、患者が耐えられるぐらいの度合いとします。連続して2~5分間操作します。 〔適応症〕 神経根型頚椎病、前斜角筋症候群、肩と上肢の痛麻無力(痛み、しびれ、無力)、頭痛、歯痛。 |
〔部位〕 患側の頚肩部。 〔操作方法〕 患者は坐るかあるいは仰臥位、術者は患者の健側の後方に位置して、片手で患者の前方から患側の下顎と後頭骨下縁部支えるようにおさえて、患者の頭頚を健側に向けて方向を旋転して同時に上に提げるように力を用います。同時に、別の手で患者の背後から患側の肩部を下におさえます。毎回の持続10~20秒間、反復3~5回。この法の主要な作用力は牽引と患側頚部の旋転です。もし病情からして必要なときには、健側の頚部にも用います。 〔適応症〕 落枕(寝違いなど)、頚椎病、頚肩部の強痛。 |
〔部位〕 僧帽筋の上部線維、肩井穴の部位を主とします。 〔操作方法〕 患者は座位で、術者は患者の背後に立ち、両手で特定部位に把握揉捏法を施します。また患側を主にします、反復操作10~30回。 〔適応症〕 感冒初期、頚椎病、落枕(寝違いなど)、後頭痛、高血圧。 |
〔部位〕 僧帽筋の上部線維の前内面、肩井穴の部位を主とします。 〔操作方法〕 患者は座るかあるいは伏臥位。術者は患者の前方に位置して、両手あるいは片手の母指端を、患者の両肩あるいは患側の肩の前から衣を隔てて僧帽筋の上部線維の前内面に深く入れ、残りの四指は肩の後をおさえて固定します、先ず僧帽筋の上部線維を10~20回揉捏し、次に母指端の背面を下に向けて肩井穴を点状揉捏しさらに左右に滑らして敏感点をさぐり、それぞれ5~10回点状揉捏。多くの患者では酸脹痛麻(だるい、はれぼったい、いたい、しびれる)感覚が肩の後あるいはその他の部位に放散します。 〔適応症〕 偏頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、頚椎病、歯病、耳鳴、眼脹(眼がはれぼったい)、復視(二重に見える)、視物模糊(はっきり見えない)、肩と上肢の痛麻(いたみとしびれ)。 |