第三章 関節運動類手法


第三節 肩関節の運動法


三、肩関節屈伸法


1.肩関節前方挙上法
 患者は座るか或いは仰臥位で、患側の肘関節をまっすぐ伸ばす。
 術者は患者の前方或いは後方或いは患側に位置して、一方の手を患側の肩におき、別の手でその肘を支え、患肢を前方挙上した後さらに上にあげて、肩関節を最大限度まで高く上げます。5〜10回繰り返します。適用は肩関節の中程度の機能障害のある病症です。



2.肩関節後方挙上法
 患者は座るか或いは伏臥位或いは健側を下にして横臥位で、患側の肘関節をまっすぐに伸ばします。
 術者は患者の前方或いは後方或いは患側に位置して、一方の手で肩をおさえ、別の手でその肘を握り、患肢を患者の後方に向けて5〜10回引っぱります。適応は肩関節に重度或いは中度の機能障害がある病症です。



3.肩関節内転法
 患者は座るか或いは仰臥位で、患側の肩関節を内転して、肘関節も屈曲します。
 術者は患者の前方或いは後方に位置して、一方の手で患肢の手首を握り、別の手で肘を支えて、患側の肩を健側の方向に推して、患側の手を健側の肩にとどかせた後10秒ほど維持します。5〜10繰り返します。適応は肩関節の内転機能障害がある病症です。肩関節脱臼或いは骨折には禁忌です。


4.腕を支える外転法
 患者は座位或いは臥位で、患肢の肘関節をまっすぐ伸ばします。
 術者は患者の後方或いは前方にいて、一方の手で患側の肩をおさえ、別の手でその肘を支えて、患肢を外転位90〜120°まで上げて、つぎに内転させて前方挙上し、最大幅まで挙上し続けます。3〜5回繰り返します。適応は肩関節の中軽度の機能障害がある病症です。


5.腕を担ぐ外転法(伸法)
 患者は座位で、患側の肘関節まっすぐ伸ばします。
 術者は患側に立って両手で患肢を抱え、身体を前に屈めてうずくまり、患肢の前腕を術者の肩の上に置きます。そうして術者は緩慢に起きあがる身体の力を利用して担ぎ上げ患肢を再大限度まで外転させます(120°を超えることはありません)。2〜3回繰り返します。適応は肩関節の中軽度の機能障害がある病症です。


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