肩関節は典型的な球関節です。前額軸上にあっては前方屈曲後方伸展を、矢状軸上にあっては内転外転を、垂直軸上にあっては回旋運動を行います。この関節は、人体にあって活動範囲が最も大きな関節です。ただし、肩は関節の拘束が緩やかで、靭帯は薄弱で、関節の安定性は比較的弱く、その関節嚢の下方には筋腱と靭帯による補強がないので、上腕骨頭は容易に前下方に脱臼します。ですから肩関節を一旦高く上げてから後方に伸展して他動的に運動させるときには、上腕骨頭を保護するように注意しなくてはなりません。 肩関節の正常な活動範囲:前方挙上90°、後方伸展40°、外転90°、内転30°、上方挙上160〜180°;中立位での回旋:内旋80°、外旋40°;背中に触れる運動(内旋して後方伸展)では、母指は第七胸椎棘突起以上に達します。肩関節の回転運動は前方挙上、上方挙上、後方伸展が主な連合動作を行い、前方挙上中に内転を含み、上方挙上中に外転を含み、後方伸展中に外旋を含みます。これらの動作のどれか一つの動作でも制限を受けますと、いずれも肩関節の回転幅に影響してきます。 |
患者は座るか或いは健側を下にして横臥します。 術者は患者の前方或いは後方位置して、片方の手で患側の肩をおさえるか或いはその上腕を握って、別の手でその手首を握って肘関節を屈曲した後、肘と手首をもって内旋するように下に圧し、肩関節を内旋させます。5〜10回繰り返します。その他の手法も配合して、肩関節周囲炎の治療に常用します。 |
肩内旋法の操作の体位と方法に準じて、続いて患者の前腕を下に圧して後方伸展を行い、手を患者の腰部に接触させた後、さらに上背の方向に1〜3回移動させます。移動するとき動作は迅速に行い、その幅は適当にしなくてはなりません。肩関節周囲炎の癒着期の治療に常用します。 |
肩内旋法の操作体位にもとづきますが、力の作用方向は逆にして、肩関節を外旋させます。5〜10回繰り返します。肩の外旋機能障害に常用します。 |