1.眼窩上神経点(図290) 〔位置〕 眼窩上縁の内から3分の1と外から3分の2の境界の陥凹部。 〔手法〕 片手ので、左右方向に柔らかく揉捏30〜50回。 〔適応症〕 前頭痛、三叉神経第1枝痛、眼窩上神経痛、顔面筋痙攣。 2.眼窩下神経点(図290) 〔位置〕 鼻翼の外下縁と外眼角を結ぶ線の中点、四白穴に相当する。 〔手法〕 母指あるいは食指あるいは中指で揉捏法30〜50回。 〔適応症〕 三叉神経第2枝痛、顔面筋痙攣。 3.オトガイ神経点(図290) 〔位置〕 口角の下一横指、あるいは下顎骨体の上下縁の間で第2小臼歯真下。 〔手法〕 中指あるいは食指の揉捏法1〜2分間、病情に基づいて、片方のツボを取ったりあるいは両方を同時に操作したりします。 〔適応症〕 三叉神経第3枝痛、顔面筋痙攣。 4.三叉神経半月節(図290) 〔位置〕 外耳道孔と眉弓外側を結ぶ線の後から3分の1点。 〔手法〕 片手の母指あるいは中指で揉捏法1〜2分間、あるいは一指禅法1〜2分間。 〔適応症〕 三叉神経痛、顔面筋痙攣、偏頭痛。 |
〔位置〕 耳珠前縁陥凹溝中、浅側頭動脈後方。 〔手法〕 中指あるいは母指を用いて耳珠を耳孔に圧し倒して、その後上下方向に揉捏1〜2分間。 〔適応症〕 偏頭痛、耳介側頭神経痛。 |
〔位置〕 耳垂下縁と珠間切痕を結ぶ線の中点と浅側頭動脈の間;あるいは耳垂前上方1。5センチ。 〔手法〕 中指あるいは母指による揉捏法1〜2分間。 〔適応症〕 顔面神経麻痺、顔面筋痙攣。 |
〔位置〕 舌骨下角と下顎角を結ぶ線の中点。 〔手法〕 母指あるいは中指の揉捏法あるいは一指禅法1〜2分間。 〔適応症〕 舌筋麻痺、失語。 |
〔位置〕 喉頭下二横指、気管の両傍。 〔手法〕 母指・食指あるいは食指・中指のを、気管両傍の該当神経点に分けて置いて、上下方向に揉捏1〜2分間。 〔適応症〕 失音、失語、声帯麻痺。 |
〔位置〕 胸鎖乳様突起筋前縁で喉頭と水平。(総頚動脈の分岐部で内頚動脈の起始部でやや膨隆しているところ、洞壁には血圧の受容器がある)。 〔手法〕 母指あるいは食指・中指の指腹で、上下方向に揉捏あるいは軽擦1〜2分間。圧力は軽く、頻度はやや速く。 〔適応症〕 高血圧、心悸(動悸)、哮喘(喘息)。 |
〔位置〕 胸鎖乳様突起筋後縁、中点の上1センチ。 〔手法〕 母指あるいは中指の指腹で、上下方向に揉捏1〜2分間。 〔適応症〕 斜頚、寝違い、副神経麻痺。 |
11.頚神経叢(図294) 〔位置〕 胸鎖乳様突起筋後縁で中点。 〔手法〕 母指あるいは中指の指腹で、上下方向に揉捏1〜2分間。 〔適応症〕 頚痛、斜頚、寝違い、頭頚振せん、神経性嘔吐、神経衰弱、後頭痛、横隔膜痙攣。 12.腕神経叢(図294) 〔位置〕 鎖骨中点を上った線と胸鎖乳様突起筋後縁の交点。あるいは鎖骨中点の上一寸(約3センチ)。 〔手法〕 片手の母指の指腹で患側腕神経叢をおさえ、のこりの四指はその側の肩の後につけて、その後母指揉捏法あるいは一指禅法あるいは中指指腹で、上下方向に揉捏。揉捏時には多くの場合電気に触ったような感覚が同側上肢に放射されます。1〜3分間。 〔適応症〕 上肢不随、麻痺、疼痛、振せん、腕神経叢神経痛、頚椎症。 |
〔位置〕 胸鎖乳様突起筋後縁の中点から鎖骨に至るまで。 〔手法〕 母指あるいは食指・中指の指腹で、横隔神経点を上下方向軽擦あるいは揉捏100〜200回。圧力が重過ぎてはいけません、頻度やや速く。 〔適応症〕 しゃっくり、嘔吐、歯痛、偏頭痛。 |
〔位置〕 上頚神経節は第2、3頚椎横突の前方に位置し、体表からは下顎角の後1センチに相当します。中頚神経節は第6頚椎横突の前結節平面に位置し、体表からは胸鎖乳様突起筋後縁で輪状軟骨と同じ高さに相当します。下頚神経節は第1肋頚の前方に位置し、体表からは中頚神経節の下2センチ、鎖骨上窩の深部に相当します。この三節は心臓神経叢の組成に参とします。 〔手法〕 母指あるいは中指の指腹を、それぞれの治療点の皮膚に密着させて上下方向に揉捏各30〜50回。圧力はやや重くても宜しいが、手法は柔和ではくてはなりません。 〔適応症〕 交感神経型頚椎症、頻脈、徐脈、頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、失眠(不眠)、高血圧、狭心症、神経性嘔吐。 |
〔位置〕 両乳様突起を結んだ線と後正中線との交点の傍ら開くこと15センチ。 〔手法〕 両母指あるいは片手の母指・食指を両点に分けて置いて、一指禅法あるいは揉捏法で2〜3分間。一側の頭頚部疾患あるいは偏頭痛にはただ患側を操作します。 〔適応症〕 大後頭神経痛、後頭痛、偏頭痛。 |
〔位置〕 上腕骨頭の後下陥凹部、肩甲棘中点と三角筋停止部を結ぶ線の中点に相当します。 〔手法〕 患側上肢を45°外転したのち、指腹揉捏法2〜3分間。 〔適応症〕 上腕挙上困難、肩部麻痺疼痛、腋窩神経麻痺、神経根型頚椎症。 |
〔位畳〕 大胸筋の前下縁が上腕骨に停止するところで、上腕二頭筋の長頭と短頭の間。 〔手法〕 患者の上肢を45°外転してやや外旋した後、母指揉捏法あるいは一指禅法2〜3分間。 〔適応症〕 筋皮神経麻痺、肩肘無力、前腕外側感覚障害、上肢痙性麻痺(上腕屈筋群筋張力亢進)。 |
〔位置〕 肩峰と上腕骨外側上顆を結ぶ線の中点。 〔手法〕 患肢の肘関節を半ば屈曲して、母指あるいは中指による揉捏法2〜3分間。 〔適応症〕 上肢不随(肘手首指伸展障害)、橈骨神経麻痺。 |
〔位置〕 上腕内側の内側二頭筋溝の上中3分の1境界のところ、上腕動脈の外側。 〔手法〕 患側上肢を45°外転してさらに外旋し、母指あるいは中指の揉捏法1〜3分間。 〔適応症〕 上肢不随(手首指の屈曲障害)、正中神経麻痺、神経性嘔吐、上肢痙性麻痺(前腕屈筋群の筋力亢進)。 |
〔位置〕 肘頭と上腕骨内側上顆の間の尺骨神経溝内、小海穴に相当。 〔手法〕 患肢の肘関節を半屈した後、母指で曲池穴をおさえて固定し、中指先端で軽い揉捏法1〜2分間、あわせて弾撥(はじくこと)2〜3回。 〔適応症〕 上肢不随(手首とゆびの屈曲障害、指の外転障害)、尺神経麻痺、肘腕痛、歯痛、癲癇、ヒステリー。 |
21.坐骨神経点 〔位置〕 坐骨結節と大腿骨大転子結ぶ線の中で内から3分の1の境界点、そこから上に3センチ移ったところ。 〔手法〕 患者は伏臥位あるいは健側を下にして横臥位で患側の下肢を曲げる。術者は両母指を重ねるかあるいは肘頭で、点状揉捏法1〜2分間。圧力は軽くはじめて次第に重くしていき、患者が耐えられる程度を基準とします。 〔適応症〕 下肢不随、麻痺、振せん、疼痛、坐骨神経痛、腰椎椎間板ヘルニア、梨状筋症候群。 22.上殿神経点 〔位置〕 坐骨神経点から上へ3寸(約10センチ)。 〔手法〕 坐骨神経点と同じですが、圧力はやや軽くします。 〔適応症〕 殿筋筋膜炎、下肢不随。 23.下殿神経点 〔位置〕 坐骨神経点から内上方へ2寸(約6センチ)。 〔手法〕 坐骨神経点に同じ。 〔適応症〕 殿筋筋膜炎、殿筋麻痺。 |
24.脛骨神経点 〔位置〕 膝窩中点の下2寸(約6センチ)。 〔手法〕 患者は伏臥位で患側の下肢を伸ばすか、あるいは仰臥位で患側の膝関節を半屈しておきます。術者は母指あるいは中指による点状揉捏法で操作2〜3分間。 〔適応症〕 下肢不随(足の屈曲・内転障害、足指の屈曲障害)、痙性麻痺(下腿後側の筋群の張力亢進)、腓腹筋痙攣、下腿後外側麻痛、膝関節屈伸困難。 25.総腓骨神経点 〔位置〕 腓骨頭後下縁。 〔手法〕 患者は膝関節を半屈曲します、術者は母指の弾撥法あるいは揉捏法で操作1〜3分間。 〔適応症〕 下肢不随(足の背屈外転障害および足指の伸展障害)、胆絞癇(胆石仙痛発作?)、総腓骨神経麻痺、下腿外側痛麻。 |
〔位置〕 外膝眼の下3寸(約10センチ)、脛骨外縁一横指。 〔手法〕 患者は仰臥位あるいは健側を下にして横臥位、術者は重ねた母指あるいは肘頭による揉捏法で操作1〜3分間。 〔適応症〕 胃腸の機能障害、腹痛、下肢不随(足背屈および足指伸展障害)、下腿外側痛麻。 |
〔位置〕 腓骨頭下2寸(約6センチ)。 〔手法〕 術者は片手の母指あるいは重ねた母指あるいは肘頭による揉捏法で1〜3分間。 〔適応症〕 下肢不随(足外転障害)、下腿外側麻痺。 |
〔位置〕 鼡径靭帯の内から1/5、外から4/5の境界点から下6センチ。 〔手法〕 患者は仰臥位、健側下肢を屈曲して、患側下肢を伸ばしてやや外展しておきます。術者は母指あるいは中指の指腹で、上下方向に揉捏1〜3分間。 〔適応症〕 大腿内転筋群不随、大腿内側の皮膚疼痛麻痺。 |
〔位置〕 鼡径靭帯の下3センチ、大腿動脈外縁。 〔手法〕 閉鎖神経点の操作と同じ。 〔適応症〕 下肢疼痛、不随(股関節の屈曲、膝関節の伸展、下肢挙上の障害)、下肢前内側痛麻。 |
〔位置〕 上前腸骨棘内側縁の下3センチ。 〔手法〕 患者は仰臥位あるいは健側を下にして横臥位、術者は母指あるいは中指の指腹で、点状揉捏法1〜3分間。 〔適応症〕 大腿外側疼痛麻痺。 |
〔位置〕 各胸椎棘突起間の傍らから開くこと3センチ。 〔手法〕 患者は伏臥位あるいは坐位、術者は母指あるいは中指の指腹で、点状揉捏法。あるいは母指、中指、母食中三指による点状弾撥法。病情に基づいて、両側あるいは一側あるいは病変に相応する神経根点を操作します。点毎に揉捏法0.5〜1分間、弾撥法3〜5回。 〔適応症〕 肋間神経痛、胸痛、背痛、神経性嘔吐、胆道蛔虫症。 |
〔位置〕 各腰椎棘突起間の傍らから開くこと3センチ。 〔手法〕 肋間神経根点の操作と同じ。 〔適応症〕腰痛、坐骨神経痛。 |
〔位置〕 即ち四対の後仙骨孔で、針灸学上八リョウ穴を称するところで、正中仙骨稜の両傍、第一後仙骨孔は正中仙骨稜から傍らへ約2.5センチ、以下後仙骨孔は次第に正中線に近づいてきて、相互の距離も近くなり、これに触れると陥凹があります。 〔手法〕 患者は伏臥位あるいは坐位、術者は母指あるいは中指で点状揉捏法、仙骨孔毎に揉捏20〜30回、反復3〜5遍。後仙骨孔はこれをおさえると陥凹感があるだけなく、周囲は敏感で、患者は多く酸脹麻沈(だるい、腫れぼったい、しびれる、おもたい)などの感覚があります。片側あるいは左右両側を同時に操作します。 〔適応症〕 腰痛、便秘、腹瀉(下痢)、遺精、遺尿(失禁)、痛経(月経痛)、月経不調、慢性骨盤腔炎。 |
〔位置〕 第一頚椎〜第二腰椎の各棘間。成人の脊髄は脊柱に較べると短く、脊椎への投影関係は大体以下の通りです。頚椎上部の棘突起の序数と頚髄の各節の序数は大体一致しています、頚椎下部では棘突起の序数に1を加えます、胸椎上部では棘突起の序数に2を加え、胸椎下部では3を加え、胸椎10〜胸椎12棘突起は腰髄に相当し、腰椎1棘突起は仙髄と尾髄に相当します。 〔手法〕 患者は伏臥位あるいは坐位。術者は病変部位と病情に基づいて、脊髄点の相応する棘間を選択します。一棘間毎に先ず母指揉捏法あるいは一指禅法を1分間操作し、次に側掌叩法(切打法)で20〜30回叩打します。臨床上多く選用するのは下頚部および胸部の脊髄点です。 〔適応症〕 神経性嘔吐、横隔膜痙攣、食道痙攣、胆絞痛(胆石仙痛発作?)、胸痛、腹痛など。 |