子育て支援

第五章 小児の推拿手法


第一節 概説


  一、小児推拿
  小児の異なる病情に基づいて、体表の異なるツボと手法を選択し、適合する刺激量を与える医療方法のことを小児推拿と言います。小児推拿も推拿学の構成部分ですが、成人推拿とは大変大きな違いがあります。特有のツボと手法がありますし、作用機序、適応症と医療の指導思想という点にも、成人推拿とは明らかに差異があり、小児推拿としての一貫した理論が完成しています。したがって臨床上では、小児推拿はそれ自体の体系を持ち、独立した一科として、専ら小児の疾病を治療しています。
  ニ、理論指導
  中医理論によって指導されていますから、四診八綱辨証論治を行います。
  三、対象年齢
  5歳以下の小児。3歳以下では治療効果は比較的に好く、1歳以下では治療効果はさらに好いです。
  四、常用手法
  推、揉、按、摩、捏、コウ、搓、運等八法。
  五、常用介在物質
  葱と生姜の汁、パウダー、ぬるま湯、オイルなど。
  六、手法とツボの特徴
 1.すべての手法は均しくツボを操作の対象としているわけです。
 2.ツボの分布は両肘以下の手腕と頭顔面部が最多で、約70%を占めます。
 3.ツボの形状は点、線、面です。
 4.手法とツボ緊密に結合していて、特定のツボに対してはただ一、二種の特定の手法を用いることができるだけです。
 5.手法の多くは手指で操作します。そして推、摩、揉、コウ法と応用は比較的に多いのですが、大多数の手法は軽快・柔軟なものです。
 6.手法では操作方向、回数、頻度と強度に非常に注意します。
  七、手法の補瀉
  手法の補瀉と手法の運力方向、頻度と刺激の強度は関係があります。手法が比較的に軽く、頻度が比較的に緩慢(150回以下/分)で、経絡の方向に沿っておさえていくかあるいは特定方向に操作するものを補とします。手法が比較的に重く、頻度が比較的に快速(200回以上/分)で、経絡の方向とは逆におさえていくかあるいは特定方向に操作するものを瀉とします。手法の強度と頻度が中等度で、線形や面形のツボの上を往復して力を運用するものを平補平瀉とします。
  補瀉法およびその刺激量を応用する際には、小児の病情、年齢、体質および手法とツボの特徴に基づいて、弾力的に運用します。毎回の推拿時間は、一般に10〜15分間とし、初生児は5〜8分間、3歳以上は15〜30分間とします。
  八、操作の順序
  一般には先ず頭と顔面、次に上肢、そして胸腹腰背、最後に下肢とします。病情あるいは体位によりこの順序が不便なときには、弾力的におこないます。上肢と下肢のツボはただ片側だけとして、習慣上男は左女は右となっています。強刺激の手法は、一般には最後の操作とします。
  九、適応症
 乳幼児の腹瀉(下痢)、嘔吐、便秘、疳積、腹痛、脱肛、遺尿(尿失禁)、尿貯留、哮喘(喘息)、夜なき、機能性腸梗塞、驚風(ひきつけ)、暑熱症、くる病、新生児筋肉性斜頚、外感発熱(かぜの発熱)、不明原因の発熱、外虚内熱(身体が弱った発熱)。
 そのほか、ある種の伝染病に一定の治療効果があります。たとえば、流感、痢疾、扁桃腺、百日咳、麻疹、小児麻痺症など。

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