第二章 基本手法


第六節 運気推拿類手法(気功推拿類の手法)



 この類の手法の特徴は:術者は手腕上に気力を運用して、患者の体表に接触あるいは接触しないで操作して、治療する局部にある種の得気を生じさせて、疾病に対する治療作用を起こすことです。患者の体表に接触しないものは、気功推拿に属し、患者の体表に接触するものは、振法(振顫法)と抖法(牽引振顫法)の両種があります。



一、気 功 推 拿
 術者は“内気”を手腕上に運用して、患者から10センチから2メートル離れていろいろな方位を向き、いろいろな姿勢をとり、特定部位に対して正確に“外気”を放つ動作を行い、患者の気機を推動、引導及び調節して、あるいは“外気”を患者に輸給して、そして治療する局部にだるい、はれぼったい、冷たい、熱い、痛い、しびれる、沈む、跳ねる、あるいは不随運動などの得気を感じさせるものを、気功推拿といいます(図43)。
 最近、我国の科学部門は気功の“外気”の働きについて計測研究を行い、ある種の気功師の“外気”が赤外電磁波、静電気、磁気及び帯電している微粒子流などの信号を有していることを証明しました。このような気功師による臨床実践を受けると、ある種の疾病に対しては一定の治療効果があります。ただし、この気功推拿の臨床応用は、まだ研究段階にあり、実事求是という科学態度をとる必要があります。気功師は長期間の苦しい鍛錬が必要ですし、計測器機による検測を経て、普通の人以上の“外気”を確実にもっていると証明されてはじめて臨床に試用できます。唯心論的な人をだます手口は絶対にいけません。



二、振法(≒振顫法)
 術者は手を患者の特定部位あるいはツボに着けて、運気方法を応用して、治療局部に高頻度の震顫を起こさせる手法で、振法(≒振顫法)といいます。振法(≒振顫法)と電動の按摩器の振動を比較すると、頻度は低く(500―1000回/分)、騒音はなく、副作用がないことなどが優れた点です。この外、また一定量の赤外線、生物電気など“外気”物質を放散しています。ですから臨床上、運気振法(≒運気振顫法)の適応範囲及びその治療効果は、電気振動法よりも大いに優れています。
 常用する振法(振顫法)には点穴輸気法(≒指振顫法)と掌振法(≒手掌振顫法)の両種があります。この外、さらに指振前額法、側掌振顫法、腹部振趕法と提抖腹壁法などがありますが、第四章でそれぞれ述べます。
 1.点穴輸気法(図44)(≒指振顫法)
 中指あるいは母指の端で特定のツボをおさえ、術者は気持ちも態度も自若として“内気”をその指端に輸送し、治療点に連綿とした不断の高頻度の振顫を起こさせます。操作する時には術者は息をつめてはいけないし、乱暴な力を使ってはいけなし、手腕を振るわしてもいけません。点穴する圧力は大きくても小さくてもよく、必要な時にはもう一方の手で手指の圧を助けてもいいですが、ただ輸気は中断してはなりません。一般に一箇所のツボへの操作は3~5分間ですが、主穴には10~15分間に達してもいいです。全身各部のツボに適用します。この法には痛みの感じはなく、おもにふるえ、脹り、しびれなどの得気感であり、単純な点穴(指頭圧迫)に比較すると刺激性は小さく、しかも伝導性は強く、得気の範囲も広いです。特定のツボに応用すると、点穴(指頭圧迫)の一般的な作用があるということ以外に、さらに補気(気を補う)、行気(気をめぐらす)、通経活絡(経絡の通りと働きをよくする)という点穴(指頭圧迫)を強化する作用があります。

 2.掌振法(図45)(≒手掌振顫法)
 全手掌で特定部位をおさえ、その後“内気”を掌面に輸送して、治療点に連綿とした不断で高頻度の振動と微熱感を起こさせます。操作する時には手掌で治療点に圧力を加える必要はなく、息をつめてはいけないし、乱暴な力を使ってはいけなし、手腕を振るわしてもいけません。一般に一つの部位の操作は5~10分間で、重点部位は20~30分間です。頭、腹、腰仙部と四肢の大きい関節に常用します。頭部に用いると不眠、ふらつき、頭痛を治療できるし、腹部に用いると腹脹、便秘、消化不良、慢性胃腸炎、潰瘍痛、慢性胆嚢炎を治療できるし、腰仙部に用いれば遺精、遺尿、月経不調、慢性骨盤腔炎、腎虚腰痛を治療できるし、関節に用いれば、消炎、消腫、鎮痛などの作用があります。



三、抖法
(≒牽引振顫法)
 両手で患者の一側の上肢の手首あるいは下肢の足首を握り、その後術者は手腕に気力を運用して、高頻度で小幅の振動を作り、振動波を肢体の遠位の筋肉・関節に沿って、波浪のように伝わって肢体の近位に向かわせます。この種の手法を抖法(≒牽引振顫法)といいます(図46)。操作する時には患者の肢体の関節は微屈して、筋肉を充分に弛緩させ、振動しやすいようにします。振顫しているときには同時に、肢体を上下あるいは左右の方向に揺り動かします。この法は理気活血(気をととのえて血をきれいにする)、筋肉の緊張をとる作用があります。常に一連の手法の終わりとしておこないます。


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