腰椎運動の基礎は椎間板と椎間関節です。腰椎間板の厚さは椎体の三分の一に相当し、ただ“弾性クッション”の作用があるだけでなく、多方向の運動に適応することができ、“関節”の役割を果たしているといえます。腰椎の両側の椎間関節は、微動関節に属し、多数の矢状面の配列をなし、主要な機能は背柱を安定させ、椎体の滑脱を防ぐことですが、しかし身体の重みを支えることはできません。 腰椎の正常な活動範囲:前屈90°、後伸30°、左右側屈各30°、左右回旋各30°。その各種の動作は腰椎の多関節運動の積み重ねによるものです。 |
患者は四角い腰掛に端座して、両手を胸の前で組み合わせる。 術者は右前方に立ち、右あしを患者の両あしの間に立てて患者の右の大腿をさえぎって骨盤を固定します。術者は右手で患者の右肩をおさえた後、前に向けて推し、左手で左肩の前を(或いは背中の後左側から患者の右手引っ張り)後ろに向けて引っ張ります。患者には胸をはって術者の手の動きに従って緩慢に左後方に向かって回旋してもらい、両目は左後方を向いてみつめてもらいます。術者は腰部の回旋への抵抗力が大きくなるのを感じたら、突然に回旋する力量を加えて、患者の腰部を続いて左後方に向けてすばやく5〜10°回旋させます。もし、矯正音を伴えば手法は成功です。もし、右に向けて回旋するなら、体位は反対で、方法は同じです。急性のぎっくり腰や、腰部筋肉疲労に適用しますが、腰部椎間板ヘルニアの治療に用いることもできます。 |
患者はベッドに座り、両あしはまっすぐ伸ばして並べるかベッドの端から垂らします。 術者は側方に立ち、一方のあしでしっかり立ち、別のあしは持ち上げて患者の両腿をおさえて骨盤を固定します(両腿を開いてデッドの端に垂らしているものはこの必要はない)。操作方法及び適応症は腰掛坐位腰椎回旋法と同じです。 |
(推し引き法) 患者は健側を下にして側臥し、患側のあしは屈して健側のあしは微に屈します。術者は患者の背後に立ち、両肘を屈曲して左右それぞれ患側の肩の前と腸骨の後に置き(図69−1)、先ず何回か前後に軽く回旋して、腰部の筋肉が弛緩するのを待って、ぐっと力を入れて、すばやく一回回旋させます。常に矯正音を伴います。その後はじめに肩の前に置いた肘をはなして改めて肩の後に置き、腸骨の後の肘を改めて腸骨の前において、前法にしたがって操作します。ぎっくり腰、腰椎椎間関節の乱れ、腰臀部の筋膜炎、腰椎椎間板ヘルニア等に適応します。 術者は患者の前方に立っても操作できます。痩せて背の高い患者には、術者は肘を手に代えて操作してもいいです(図69−2)。もし腰椎の回旋する交点を下に移すのなら、術者は肩を引っ張っている肘を先ず大きく回旋して幅をひろげて、腸骨を推している肘の力を主とします。 |
患者は伏臥で、患側のあしを屈して健側のあしを伸ばします。 術者は健側に立って、一方の手の母指或いは手根或いは足のかかとで腰椎の傍らの圧痛点をおさえ、その肘或いは膝は真直ぐ伸ばしておかなくてはならない、別の手で患側の腸骨の上縁或いは足関節の上部を握って下肢を後上方に向けて引っ張り、骨盤を回旋させることによって下部腰椎を回旋させ、仙腸関節の間隙を小さく変えさせます。矯正音を伴うのが常です。この法は腰椎椎間板ヘルニア、ぎっくり腰、仙腸関節の歪み等に適応します。 |