〔部位〕 印堂穴から百会を経て風府穴に至る督脈の線。陽白穴から絡却穴を経て風池に至る両傍の胆経の線。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か仰臥位かあるいは座位、術者は先ず両母指を並べるかあるいは重ねて正中線を按圧します、つぎには両母指でそれぞれ両傍の胆経の線を按圧します。それぞれの線状の始め、中間、止め穴を按圧する時には揉捏する回数を増加しなくてはなりません。反復3〜5回。 〔適応症〕 頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、感冒、失眠(不眠)、高血圧、鼻塞(鼻づまり)、眼花(眼がかすむ)。 |
〔部位〕 外後頭隆起から前髪際までの頭皮部。 〔操作方法〕 患者は座るか伏臥位。術者は患者の後方か側後方に位置して、五指を開いて少し屈して、熊手のようなかたちして、指先をつけます。先ず片手で前髪際の中央部から開始して頭頂を経て頭の後ろの外後頭隆起の上方まで把握揉捏していきます。次に両手で同時に前髪際両側のこめかみから外後頭隆起の上方まで把握揉捏していきます。それぞれ3〜5回繰り返します。操作する時には五指の先端で頭皮をしっかり圧迫し緩まないようにし、把握揉捏しては後方に向かって滑らし、指の先端は頭皮から離れないようにします。また別の操作方法もあります。すなわち頭皮の上にある指の先端を前から後に向けてとぎれとぎれに操作するのですが、一箇所について指の力で3回ほど把握揉捏しますが、腕の関節は大幅には動かさないで、指の力が深く浸透するようにして、しかも頭皮に対する牽引作用は小さくします。 〔適応症〕 頭痛、頭脹(頭がはれぼったい)、失眠(不眠)、高血圧。 |
〔部位〕 頭部の両頂角を結んだ線の後方から後髪際に至る間。 〔操作方法〕 患者は座るか伏臥位;術者は患者の後方あるいは側方に立ち、両母指腹で、上から下へと、外から内へ向かって、順次合推(左右合わせて推す)して風府穴に至って止めます。3〜5回繰り返します。最後の一回が終わった後、片手の母指で百会を数回按揉します。さらに督脉経に沿って頭の後に向かって風府穴まで推して行ったときに数回按揉します。 〔適応症〕 後頭痛、頚項痛、感冒、高血圧。 |
〔部位〕 両方のこめかみと外後頭隆起の両側。 〔操作方法〕 患者は座るか伏臥位、術者は患者の前方あるいは側方に立ち、母指の橈側面とともに四指の並んだ指の先端を作用点とします。前腕を揺り動かすことによって頭皮上の指の先端を前から後ろに向けて反復して推し動かします。片手でも操作できますが、両手を両側のこめかみやれば同時に操作できます、ただ母指の橈側面かあるいは四指の先端のどちらかを作用点にして操作することになります。操作する線と力の方向は、常に前から後ろへいき、上から下へといくのが原則です。頻度は200〜300回/分。3〜5回繰り返します。 〔適応症〕 偏頭痛、高血圧、神経衰弱、視力模糊(はっきり見えない)。 |
〔部位〕 髪際の内側で頭皮全体。 〔操作方法〕 患者は座るか伏臥位、術者は患者の後方あるいは側方に位置して、五指の先端を作用点として、手指を運ぶ力で、軽快にリズミカルに前から後に向かって掻いていきますが、掻くときにはやや持ち上げる感じでやります。片手あるいは両手で同時に操作します。反復3〜5回。 〔適応症〕 頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、失眠(不眠)、健忘(よくものを忘れる)、高血圧。 |
〔部位〕 髪際の内側で頭皮全体。 〔操作方法〕 患者は座るか伏臥位。術者は患者の後方あるいは側方に位置して、両手の指腹を作用点として、四指を並べての輪状軽擦が主となります。先ずそれぞれ左右両方のこめかみに小幅な輪状軽擦を施し、その後逐次拡大して頭皮全体に及びます。動作は軽快・敏捷でなくてはなりません。3〜5回繰り返します。 〔適応症〕 偏頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、頭脹(頭がはれぼったい)、失眠(不眠)、高血圧、心悸(動悸)。 |
〔部位〕 髪際の内側で頭皮全体。 〔操作方法〕 患者は座るか伏臥位。術者は両手の四指を少し曲げて自然に開き、もし患者の前方にいるときには、四指の中節と末節の指背を作用点とし、もし患者の側方にいるときには、四指の末節の指腹を作用点とします。そして腕関節の動きを主として、頭髪の間にある四指を連動させて前から後ろに向けて軽快に梳ります。両手同時にあるいは交替で操作します、反復20〜30回。 〔適応症〕頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、頭痒(頭が痒い)、失眠(不眠)、煩躁(いらだたしい)。 |
〔部位〕 髪際の内側で頭皮全体。 〔操作方法〕 患者坐あるいは仰臥位。 A 図190−1のように、指背擺手叩法(指背やなぎ手)で操作1〜2分間。 B 図190−2のように、指腹擺手叩法(指腹やなぎ手)で操作3〜5分間。 C 図190−3のように、両手の指端叩法(指端叩打法)で操作1〜2分間。 D 図190−4のように、指腹あるいは指背敲撃叩法(叩打法)で操作1分間。 以上のように手法は1〜3法から選んで対症治療をおこないます。 〔適応症〕 頭痛、頭脹(頭がはれぼったい)、失眠(不眠)、感冒、視力模糊(はっきり見えない)、眩暈(めまい)、高血圧。 |
〔部位〕 髪際の内側で側頭部。 〔操作方法〕 患者は仰臥位、術者は患者の頭の後方に座り、両手の5指を伸して開き、指腹面を作用点とし、患者の両側の側頭部を軽快に交替に叩打します。手を一回打ち下ろす毎に、小指から母指へと順次輪状に頭皮を叩打します、手向を一回打ち上げるごとに、今度は母指から小指へと順次輪状に頭皮を叩打します。操作時の両手の頻度は800〜900回/分。 患者が仰臥位ならば、患者の両方のこめかみ部を切打することになりますし、患者が俯臥位ならば、患者の両側後頭側頭部を切打することになります。毎回切打30秒間。 〔適応症〕 偏頭痛、後頭痛、全頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、眩暈(めまい)、神経衰弱、高血圧。 |
〔部位〕 髪際の内側で頭皮全体、頭頂部の頭皮が主。 〔操作方法〕 患者は座るか伏臥位。 A 図192−1のように、術者は片手の四指を屈曲してやや開き、掌心を下に向け、頭髪の間に五指を並べて置き毛根にある指の間隔を狭め、一箇所を狭めるごとに前後あるいは左右方向に3回持ち上げるように引っぱります。持ち上げるように引っぱる力は大くてはなりません、頭皮が軽微に移動する程度が適当です。操作する線は前から後に至り、上から下にします。重複2回。 B 図192−2のように、術者は両手の母指あるいは母指と食指の先端を対にして頭皮を挟んで捏ねます、前から後へ、上から下へ、順を追って挟んでは緩め挟んでは緩めと操作します。しびれや痒みのある部位は数回挟んで捏ねます。重複2回。この方法は刺激が割りに強いので、力は軽く柔らかく用いるのが宜しいです。ただし手法は強めに開始して、患者の痛感を割りに強くし、数回行った後に少しずつ患者が気持ちが良い程度に適応していきます。 〔適応症〕頭痛、頭脹(頭がはれぼったい)、頭皮痒(頭の痒み)、白屑風(フケ)、項強(うなじの強ばり)、失眠(不眠)。 |
〔部位〕 頭頂部で両耳の直上と督脉経が相い交るところ。 〔操作方法〕 患者は胸を張って端坐し、頭部はまっすぐにしておきます。術者は患者の右側に立って、左手の母指と食指を開いて患者の風地穴の上方を支え、右手の手根部で頭頂部の前上方から後下方に向けて3回ほど垂直叩打します。操作要領は捶法を参照してください。 〔適応症〕頭脹(頭がはれぼったい)、頭痛、多夢(夢が多い)、失眠(不眠)、高血圧。 |
〔部位〕 両側頭部、両こめかみ部、両太陽穴。 〔操作方法〕 患者坐あるいは臥位。 A 図194−1のように、術者は両手掌をそれぞれ患者の両こめかみ部あるいは前額部と外後頭隆起の両側において、左右から同時に30秒間圧迫します。2回繰り返す。 B 図194−2のように、術者は両手の母指球あるいは手根あるいは母指腹で、両太陽穴を30秒間左右同時に圧迫します。2回繰り返す。 〔適応症〕 頭脹(頭がはれぼったい)、頭病、眩暈(めまい)、偏頭痛、神経衰弱、煩躁(いらだたしい) 、高血圧、視力模糊(はっきり見えない)。 |