〔部位〕 環跳穴(患者は健側を下にして横臥し、患側の股関節と膝関節は屈して、大腿骨大転子上方の筋肉陥凹部。あるいは坐骨結節と大腿骨大転子を結んだ線の外側3分の1のところ)。 〔操作方法〕 患者は健側を下にして横臥し、患側の股関節と膝関節は屈して健側の下肢は伸ばします。術者は患者の後方に立ち、右手の掌根捶法(手根垂直叩打法)で環跳穴に対して激しく拍打します、5~10回。 〔適応症〕 腰椎椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、梨状筋症候群、殿筋筋膜炎、下肢屈伸困難。 |
〔部位〕 殿部外上方の腸骨窩。 〔操作方法〕 患者は伏臥位かあるいは健側を下にした横臥位で、術者は患者の側方あるいは後方に位置して、病情と手法の応え具合に基づいて、母指揉捏、小拳揉捏あるいは肘尖揉捏法を採用して、腸骨窩を上から下へと、内から外へと、往復して操作3~5遍。痛点は適当に刺激量を増加します。 〔適応症〕 腰殿筋筋膜炎、上殿皮神経炎、坐骨神経痛、ぎっくり腰。骼 |
〔部位〕 大腿内側の皮下組織および浅層筋肉。 〔操作方法〕 患者は仰臥位あるいは患側を下にした横臥位、患側の下肢は半分屈して、健側の下肢は伸ばします。術者は患側に位置して、両手を並べて患側の大腿の筋肉を把握揉捏した後、一方の手で前に向けて推し、別の手で後ろに向けて引っぱり、交替してひねり、筋肉に“S”字型のひねりを与えながら移動します。上下往復操作5~10遍。 〔適応症〕 大腿内転筋労損(疲労)、攣縮、酸痛(だる痛い)、月経不調、遺精、遺尿(失禁)、排尿困難。 (ジュウ=扭) |
〔部位〕 大腿前側、外側。 〔操作方法〕 患者は仰臥位で、術者は患側に位置して、一方の手拳背側の近位指節間関節で、上から下へと、内から外へと移動しながら圧迫しますが、動きは大腿面をさぐるが如くにします。反復5~10遍。もし手法の強度を強める必要があるときには、一つの圧迫点ごとに3回揉捏するか、あるいは別の手を重ねて力を足します。 〔適応症〕 大腿四頭筋労損(疲労)、麻痺、風湿症、大腿神経炎、大腿外側筋肉筋膜炎、腰膝酸痛(だる痛い)、腰膝の機能制限。 |
〔部位〕 下肢の後側と大腿の前側・内側の筋肉。 〔操作方法〕 患者は伏臥位あるいは仰臥位で患側の股関節と膝関節は屈して健側の下肢は伸ばしておきます。術者は患側に位置して、理臂肌(上肢把握揉捏)の手法を参考に、大腿の前側・内側と下肢の後側を、上から下へと反復操作3~5遍。もし患者の下肢の筋肉が豊満で緊張していて、片手では操作しにくいときには、両手を用いて同時に操作します。 〔適応症〕 下肢癱瘓(タンタン)(不随)、筋肉萎縮、風湿症、筋肉労損(疲労)、坐骨神経痛。 |
〔部位〕 大腿骨内側上顆から鼠径溝に至るまでの大腿の前内側。 〔操作方法〕 患者は仰臥位、健側の下肢は伸ばし、患側の股関節と膝関節は屈してやや外転しておきます。術者は患側に位置して、片手の手掌軽擦法で、下から上へと反復操作100~200回。 〔適応症〕 排尿困難、尿貯留、腹瀉(下痢)、腹痛、大腿前内側の筋肉の捻挫打撲.。 |
〔部位〕 下肢の内側、後側、外側面と大腿の前面。 〔操作方法〕 患者は先ず仰臥位で、後で伏臥位になり、患側の下肢は伸ばし、健側の下肢は半ば屈曲してやや外転しておきます。術者は患側の足の方に立って、片手の手掌軽擦法で、下肢の外側、前側、内側、後側という操作順序に基づいてあるいは適当に斟酌して、下から上へと反復平推(手掌軽擦)各30~50回。 〔適応症〕 下肢筋肉栄養不良、筋肉萎縮、筋肉労損(疲労)、腓腹筋痙攣、排尿困難、失眠(入眠障害)、心悸(動悸)、腰腿痛(腰と下肢の痛み)。 |
〔部位〕 膝蓋骨周縁。 〔操作方法〕 患者は仰臥位あるいは坐位で、健側の下肢は屈して患側の下肢は伸ばします。術者は患者の側方に位置して、一方の手の五指の先端で患側の膝蓋骨の周縁を把握揉捏しながら、時計回りと逆時計回りにそれぞれ30~50回転がします。 〔適応症〕 膝蓋骨軟化症、半月板損傷。 (ヒン骨=臏骨) |
〔部位〕 内外膝眼。 〔操作方法〕 患者は仰臥位あるいは坐位で、患側の膝関節を少し曲げる。術者は患者の側方に位置して、片手の小指球あるいは母指球による軽擦法でそれぞれ大腿骨内側上顆・外側上顆から膝蓋骨の内縁・外縁・下縁に沿って内外膝眼を経て犢鼻の下方に至るまで軽擦します。内外それぞれ30~50回軽擦。この法は両手を膝関節内外側に分けておいて、あるいは上にあるいは下にと交替に操作しても宜しいです。 〔適応症〕 膝関節の風湿症、半月板損傷、外傷性滑液包炎、側副靭帯損傷、膝関節屈伸困難。 |
〔部位〕 膝関節の両側、膝眼部が主。 〔操作方法〕 患者は仰臥位あるいは坐位、患側の膝関節を少し屈する。術者は患者の側方に位置して、搓法(錐状揉捏)を用いて膝関節の両側にぴったりとつけて操作約1分間、患者の膝関節内にだるい・はれぼったい・振動する感じと熱感がしてきたら宜しいです。反復2~3回。 〔適応症〕 膝関節の風湿症、膝蓋骨下滑液包炎、側副靭帯損傷、半月板損傷、膝蓋骨軟化症。 |
〔部位〕 膝蓋骨下縁陥凹部。 〔操作方法〕 患者は仰臥位で、患側の膝関節をすこし屈します。術者は患者の側方に位置して、片手の手掌小指側振法で、屈伸式により高頻度の振動10~20秒、一呼吸で一区切りとします。反復2~3回。 〔適応症〕 大腿四頭筋労損(疲労)、膝蓋骨下滑液包炎、膝関節の風湿症、半月板損傷。 |
〔部位〕 膝蓋骨下縁。 〔操作方法〕 患者は仰臥位あるいは坐位で、患側の膝関節を半屈します。術者は患者の側方に位置して、両手あるいは片手の母指で膝蓋骨下縁の圧痛点を指掐コウ(ゆび針)します、膝蓋骨の内上方に向けて力を運び掐(コウ)揉(母指を曲げて指尖で揉捏)2~3分間。指の爪は短く切っておき、加える力は適当にします。 〔適応症〕 半月板損傷、膝蓋骨下の脂肪肥厚、膝蓋骨下滑液包炎、膝蓋骨軟化症。 (ヒン下=臏下) (コウ法=掐法:母指の爪を使い、患者の穴位に爪を立てるようにしてつねる治療方法) |
〔部位〕 下腿前外側、脛骨と腓骨の間。 〔操作方法〕 患者は仰臥位あるいは健側を下にした横臥位で、患側の下肢を少し屈曲してやや内旋しておきます。術者は患側に立って、肘頭あるいは両手の母指腹を重ねて、上から下へと移動しながら点揉(点状揉捏)3~5遍。移動した部位毎に点状揉捏3~5回、痛点には適当に刺激量を増加。あるいは患側下腿の前外側にパウダーあるいはオイルを少し塗って、術者の肘頭を、上から下へと滑らせて圧迫しながら推します3~5遍、操作するときには圧力は重く、動作は緩慢にします。 〔適応症〕 腰椎椎間板ヘルニアあるいは坐骨神経痛に起因する下腿外側の麻痺、疼痛、酸脹(腫れぼったくてだるい)、感覚減退など。腹痛、腹脹(お腹が脹る)、便秘、下肢麻痺などに対して治療効果があります。 |
〔部位〕 下腿前外側、脛骨と腓骨の間 〔操作方法〕 患者は仰臥位あるいは健側を下にして横臥位、患側下腿を少し屈曲してやや内旋しておきます。術者は患側に立って、片手の側拳捶法(側拳垂直叩打法)あるいは掌根捶法(手根垂直叩打法)あるいは拳背の中手骨頭あるいは近位指節間関節による拳捶法(垂直叩打法)で、上から下へと移動しながら捶撃(垂直叩打)3~5遍。力量は適当にして、脛骨と腓骨にはぶっつけないようにし、痛点に対しては適当に叩打回数を増加します。 〔適応症〕 脛骨と腓骨の間の症候群、下腿外側の麻痺、酸痛(だる痛い)、感覚鈍麻、下肢の痙攣性麻痺、腰痛、腹痛。 |
〔部位〕 足背の腫脹したところ、足背の外側に常用します。 〔操作方法〕 患者は坐位あるいは臥位、片方の膝関節を半屈して、足部を少し高くします。術者は患側に位置して両手の母指を並べて掐(コウ)法(ゆび針)を施します。第一回は腫脹部位の中線に沿ってゆび針をして行き、腫脹部位を両方に分け、中線は一条の陥凹した浅い溝を形成します。その後さらに浅い溝の両側を次第に両辺に向けて分けるようにゆび針していき、まっすぐ腫脹部の辺縁に至って止めます。2~3遍繰り返しても良いです。指掐(コウ)(ゆび針)は連続して密に動かしながら前に向けて擠推(左右同時圧)します。運力および操作方向は始終下肢の遠位から近位に向かってゆび針していき、足関節の上方に至ります。指の爪は短く調え、力は適度にして、皮膚を傷つけないようにします。 〔適応症〕 足関節外側靭帯捻挫後、足背外側が瘀(オ)血で腫脹した者。足関節内側靭帯捻挫およびその他の原因で引き起された足背が腫脹している者はこの方法による治療を参考にできます。 (コウ法=掐法:母指の爪を使い、患者の穴位に爪を立てるようにしてつねる治療方法) |
〔部位〕 湧泉穴を中心とする足底の中前部 〔操作方法〕 患者は伏臥位で、術者は患者の足の側方に位置し、片手の手掌あるいは小指球による軽擦法で横に向って摩擦します、100~300回。一般に片足を選びます、男は左、女は右。 〔適応症〕 失眠(入眠障害)、高血圧、頭痛、頭昏(頭がくらくらする)、虚熱盗汗(微熱寝汗)、二便困難。 |
〔部位〕 湧泉穴(第二、三中足骨の間、足心の陥凹部)。 〔操作方法〕 患者は仰臥位あるいは伏臥位で患側下肢を伸ばします、あるいは伏臥位では患側下肢の膝を曲げます。術者は患者の足の後方に位置して、母指あるいは中指の指腹で、連続して揉捏300~500回、あるいは3~5分間。一般には片方のツボを選びますが、両方のツボを同時に操作しても宜しい。 〔適応症〕 足底痛、失眠(入眠障害)、高血圧、頭痛、便秘、盗汗(寝汗)。 |
〔部位〕 足底の後から三分の一の境目、第二、三楔状骨に相当します。あるいは足底踵骨の圧痛部位。 〔操作方法〕 患者は伏臥位で、患側の膝を90°屈曲します。術者は患者の足の側方あるいは後方に立ち、側拳捶を応用して捶撃(垂直叩打)3~5回、叩打する力は強く、穏やかに、応えるようにします。 〔適応症〕 足根間関節滑液包炎、足底痛、腰痛、失眠(入眠障害)、多夢、高血圧。 |