〔部位〕 第十二肋骨から上の背部、肩甲骨の脊柱縁(内側縁)を主とします。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で、術者は患者の頭の前方か背後に位置して、両手の手掌をつかいますが、母指では第二胸椎棘突起起の両傍を圧迫し、他の四指は肩甲骨の上方つけて、操作時には母指の力を主に使い、下に向かって肩甲骨の脊柱縁(内側縁)に沿って真っすぐ軽擦して十二肋骨に達したら、両手を左右に向けて、肩甲骨の外縁に沿って上り元の位置に返り、二回目の軽擦を行います。反復30〜50回。もし患者が座位の時に、術者が患者の背後に居てこの方法を行うときには、術者は両手の指を上に向けて引っぱる力を用います。母指が肩甲骨の脊柱縁(内側縁)を軽擦するときには、大きな圧力を加えます。 〔適応症〕 肩背筋の筋膜炎、頚椎症、胸痛、胸悶(胸苦しい)、胃痛、肋間神経痛、肺虚咳嗽(弱弱しい咳)、感冒。 |
〔部位〕 肩井穴、第七頚椎棘突起と肩峰を結んだ線の中点に相当。 〔操作方法〕 患者は座位または伏臥位。術者は患者の後方または頭の前方に立ち、両母指端でそれぞれ両側の肩井穴の上をおさえ、上半身を前傾して、体重と腕の筋力を利用して持続按圧(圧迫)10〜20秒間、患者の肩にはっきりした酸脹感(だるい腫れぼったい感じ)や、甚だしいときには全身の酸軟無力(だるく力が抜ける)や、かすかに汗を出させます.往復2回。 〔適応症〕 感冒初期の悪感発熱、肩背酸痛(だる痛い)、頭痛、頭脹(頭が腫れぼったい)、ヤク逆(しゃっくり)。 |
〔部位〕 大椎穴の下方、第一、二胸椎棘突起の部位に相当。 〔操作方法〕 患者は端坐して胸は真っすぐにして、頭はやや前屈する。術者は患者の背後に位置して、左手で患者の左側を支え右手で仰拳捶法(背側拳垂直叩打法)で強く叩打します3回。 〔適応症〕 胸悶(胸苦しい)、胸痛、神経衰弱、感冒初期、項背酸痛(だる痛い)。 |
〔部位〕 両肩と肩甲骨の上部。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で。術者は患者の頭の前方か背後に位置して、両手の側拳叩(手拳叩打)あるいは側掌叩(切打)法で、連続叩打1〜2分間、頻度は300回以上/分。 〔適応症〕 頚椎症、高血圧、神経衰弱、肩背酸痛(だる痛い)、側頭痛、胸悶(胸苦しい)。 |
〔部位〕 両肩甲骨背柱縁(内側縁)の中部筋肉、主に菱形筋。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で、術者は患者の側方あるいは背後に位置します。左側の菱形筋を把握揉捏するには、患者は左肩を後に引き(腕を背中に回す)、肩甲骨の脊柱縁(内側縁)の筋肉を弛緩させて、その後術者は右手で局部に弾筋法(把握揉捏で弾く)1〜3回。次には右側。 〔適応症〕 肩背筋筋膜炎、頚椎症、胸悶(胸苦しい)、胸痛、腹脹(お腹が脹る)、感冒初期。 |
〔部位〕 肩外兪、第一胸椎棘突起下の傍ら開くこと3寸、肩甲骨の上角に相当し、肩甲挙筋停止部。神堂、第五胸椎棘突起下の傍ら開くこと3寸で、肩甲骨脊柱縁(内側縁)。天宗、肩甲棘下窩の中央陥凹部。肩貞、腋窩横紋頭の上1寸、肩甲骨外側縁。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で。術者は患者の側方あるいは背後に位置し、一方の手で患者の肩を支え、別の手の母指腹で、背中の四穴を順次点揉(点状揉捏)20〜30回。一般に患側を点揉しますが、病情によっては両側を同時に操作します。 〔適応症〕 落枕(寝違い)、肩周炎(肩関節周囲炎)、肩背筋筋膜炎、頚椎症、感冒、胸痛、哮喘(喘息)、咳嗽、腹脹(お腹が脹る)。 |
〔部位〕 胸部三区に相対する背部の三条の平行した部位。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で、手法とその刺激量は横擦胸三区(前胸部三区軽擦)に同じです。 〔適応症〕 肺虚咳嗽(弱弱しい咳)、胸痛、胸悶(胸苦しい)、背痛、腹脹(お腹が脹る)、哮喘(喘息)、感冒畏寒(悪寒)。 |
〔部位〕 第一胸椎から第五腰椎棘突起に至る線。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で。術者は患者の頭の前右側に立って、右手で手掌全体で、上から下へ反復して直っすぐに軽擦20〜30回。棘突起線上にオイルかパウダーを塗って皮膚を保護します。力は均等に用いて、圧力が強すぎないようにします。頻度は30〜60回/分。 〔適応症〕 外感発熱(かぜの発熱)、陰虚内熱(身体が弱った発熱)、神経衰弱、消化不良、強直性脊椎炎。 |
〔部位〕 脊柱両側の膀胱経、即ち両側の大杼から関元兪に至る線上。 〔操作方法〕 患者は伏臥、あるいは椅子の背もたれに向かって跨いで座り、頭を低くして背中を弓のようにします。術者は患者の側方に立ち、右の肘頭で、上から下へと推圧(圧迫しながら軽擦)します。左右各3〜5遍。推圧の速度は緩慢にし、圧力はあまり強くしないで、操作線上の皮膚にはオイルかパウダーを塗ります。 〔適応症〕 胸痛、胸悶(胸苦しい)、腹脹(お腹が脹る)、腰背酸痛(だる痛い)、感冒畏寒(悪寒)、失眠(不眠)、消化不良。 |
〔部位〕 第一胸椎から第五腰椎棘突起に至る線上の傍ら開くこと約1.5センチの両平行線。 〔操作方法〕 患者は伏臥、術者は患者の側方に位置して、両母指を重ねて母指端の橈側面で、操作線上を上から下へと移動しながら按揉(圧迫揉捏)します。移動する毎に点状に按揉3〜5回。痛点には力を加え回数を増やします。毎回の移動距離は約術者の母指の幅とします。力は常に患者の脊柱の前内方向けて加えます。両側の夾脊線上をそれぞれ操作3〜5遍。 〔適応症〕 強直性脊柱炎、胸痛、胸悶(胸苦しい)、肋間神経痛、腹脹(お腹が脹る)、腹痛、消化不良、失眠(不眠)。 |
〔部位〕 胸腰椎棘突起線の傍ら開くこと3〜6センチの左右両側の平行帯。 〔操作方法〕 患者は伏臥。術者は患者の側方に位置して、両手を並べて軽く拳を握り、そして一方の手で別の手の母指を握っておいて、その後両手の小拳滾(≒くるま手)で操作します。あるいは術者の右手で小拳滾法(≒くるま手)の操作し、左手では右手の前腕部を握って助けます。上から下へと、内から外へと操作します。内から外への毎回の移動距離は均等にして作用点の幅とし、各段毎に約3〜4回異動させます。上から下への移動距離は約作用点の長さとします。ですから、両手並べた滾法では移動は3〜4回となりますし、片手の場合は約6〜10回移動することになります。移動した部位ごとに滾法を3回、痛点あるいは敏感点に出くわしたら、適当に圧力と回数を増加します。 〔適応症〕 強直性脊柱炎、頚椎症、腰背筋筋膜炎、胸痛、腹痛、頭痛、神経衰弱。もしこの方法を腰仙部に応用すれば、痛経(月経痛)、月経不調、遺精、遺尿(失禁)(失禁)、便秘などに対して一定の効果があります。 |
〔部位〕 胸、腰、仙椎の棘突起線上。 〔操作方法〕 患者は伏臥、術者は患者の側方に位置して、右手で空拳拍法(拍打法)、 上から下へと快速に拍打、反復3〜5遍。拍打の移動距離は、約患者の二個の棘突起間の長さで、上から下へと一遍拍打するのに8〜10回移動します。拍打はおもに手首で行い、頻度は速めに、清んだ音が出るように、リズム感豊かに。 〔適応症〕 肋間神経痛、強直性脊柱炎、腰痛、便秘、腹脹(お腹が脹る)、ヤク逆(しゃっくり)、胸悶(胸苦しい)、。 |
〔部位〕 背腰部。 〔操作方法〕 患者は伏臥、背腰部を露出します。術者は患者の側方に位置して、両手を並べて、手掌を下に向け、反手捏(≒結合織マッサージ)の操作手法を参考に、患者の背腰部を左から右へ、上から下へと、皮下組織を満遍なく持ち上げます。一回持ち上げる毎に3回揺り動かします、痛点ところは刺激量を増やします。重複2〜〜3遍。 〔適応症〕 腰背筋筋膜炎、胸痛、胸悶(胸苦しい)、腹痛、腰痛、消化不良、神経衰弱。 |
〔部位〕 背腰部の皮下組織と筋肉。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で、背腰部を露出。術者は患者の側方あるいは背後に位置し、両手を並べて、手掌を下に向け、十指の先端で、あるいは片手の五指の先端で、あるいは両手の指端を重ねて、患者の背腰部を上から下へ、左から右へと、移動しながら抓揉(抓めるように揉捏)します。一箇所の皮下組織と筋肉を抓った後手を緩めないで、前腕と手首を主に使って3回ほどまわしたり左右に揺り動かします。痛いところは適当に刺激量を増加します。重複2〜3遍。 〔適応症〕 腰背筋筋膜炎、肋間神経痛、胸痛、腰痛、胃痛、腹脹(お腹が脹る)、失眠(不眠)、感冒。 |
〔部位〕 胸腰部の脊柱の両方の傍ら、足太陽膀胱経の部位に相当。 〔操作方法〕 患者は座位または伏臥位、背腰部を露出。術者は患者の右前方に立ち、右手の小指球の掌側面で、患者の脊柱の両側を大杼穴から関元兪穴に至るまで、往復して摩擦します、各20〜30回。あるいは手の下に熱感を感じてきたら停止します。術者の手掌には少量のオイルを塗り、往復の力は均等にして、圧力は適当でなくてはなりません。 〔適応症〕 岔気(胸脇痛)、胸痛、胸悶(胸苦しい)、ぎっくり腰、腰筋労損(疲労)、胃痛、感冒、失眠(不眠)、腰背筋筋膜炎。 |
〔部位〕 腰仙部。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で、腰仙部を露出。 A.横擦法:術者は患者の側方に位置して、片手の平掌擦法(手掌軽擦法)、患者の腰仙部を左右方向に3〜5分間摩擦、頻度は160〜200回/分。局部に熱感は深部の組織に浸透するとよろしい。 B.直擦法:術者は患者の右側方に立ち、右手で小魚際擦法(小指球軽擦法)、患者の腰仙部付近の脊柱の両傍を上下方向に摩擦2〜3分間。頻度と注意点はA法と同じ。 摩擦する圧力は強くしないように、局部には少量のオイルを塗ります。 一般に、横擦は補法で.直擦は瀉法とされています。 〔適応症〕 腰筋労損(疲労)、ぎっくり腰、腰臀筋筋膜炎。横擦法は腎虚腰痛(老人性腰痛)、風湿性腰痛、遺精、陽萎)(インポテンツ)、遺尿(失禁)、便秘、痛経(月経痛)、月経不調、慢性盆腔炎(骨盤腔炎)などに対して比較的に良い治療効果があります。 |
〔部位〕 腰部両側の陥凹部、第三腰椎横突の外端に相当。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で、術者は患者の側方あるいは後方に位置して、両手の母指腹で、患者の両側の腰眼のところをそれぞれ第三腰椎横突の外端に至るまで深く圧迫します、その後相対的に静な力で左右同時圧と揉捏を行い、交替3〜5分間応用します。弱いものには圧力は軽くするのが宜しいです。あるいは点穴輸気法(≒指振せん法)に改めます。片側腰痛の場合は、力は患側に主として用います。 〔適応症〕 風湿性腰痛、坐骨神経痛、腰椎椎間板ヘルニア、ぎっくり腰、腰臀筋筋膜炎、便秘。 |
〔部位〕 肋骨弓下縁から腸骨稜上縁に至る両側の腰部。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で、術者は患者の側方あるいは背後に位置し、両方の手根部あるいは母指球で、左右同時に腰椎棘突線上から開始して、両辺に向かって軽擦していきます、30〜50回。身体の強い者には圧力は重い方がよいですが、弱いものには軽い方がよいです。 〔適応症〕 慢性腰痛、ぎっくり腰、腹脹(お腹が脹る)、便秘、遺精、遺尿(失禁)、月経不調、慢性盆腔炎(骨盤腔炎)。 |
〔部位〕 胸椎第1、2、3棘突起の部位;胸椎第8、9、10棘突起の部位;腰椎第3、4、5棘突起の部位。 〔操作方法〕 患者は伏臥位、術者は患者の側方に立ち、手掌を重ねて、上半身を前にたおして、両肘はまっすぐにして、このようにして体重に手腕の圧迫力加えて、患者の脊柱の三個の特定部位をそれぞれ一分間圧迫します。圧迫するときには手腕で小幅で快速で弾力のある手掌振せんを加えます。胸腔および脊柱に器質性の疾患をもつ患者には、この法は用いません、用いるとしても慎重でなくてはなりません。 〔適応症〕 強直性脊柱炎、脊柱の機能的な弯曲異常、胸痛、胸悶(胸苦しい)、腰痛、棘上・棘間靭帯の疲労。 |
〔部位〕 腰仙関節とその両側。 〔操作方法〕 患者は伏臥位か座位で腰は真っすぐにします。術者は患者の側方あるいは背後に位置します。 A. 仰拳捶法(背側拳垂直叩打法)で腰仙関節を叩打します。 B. 腰仙関節両側の三角形の陥凹部を、側拳捶法(側拳垂直叩打法)を応用し、小指球面、左右それぞれ3〜5回叩打します。 〔適応症〕 腰仙部痛、坐骨神経痛、腰椎椎間板ヘルニア、慢性盆腔炎(骨盤腔炎)、ぎっくり腰、遺精、遺尿(失禁)。 |